モノづくりエンジニアの努力はなぜ評価されない? モノをいう、組織を動かすエンジニアになるための必須要件「プレゼン力」を基礎から身につけよう
モノづくりエンジニアの努力ってなぜ評価されない? モノづくりを支えるエンジニアはもっと発言力を持つべき。モノをいう、組織を動かすエンジニアになるための必須要件「プレゼン力」を基礎から鍛えます(編集部)
皆さまこんにちは! 五葉コンサルティングの楊です。
今回の連載『技術系男子のための企画&プレゼン講座』では、通常業務のほかに、製品改善、業務改善などを通じて会社に大きな貢献を果たしながらも、なかなかその功績をアピールし切れない“技術系男子”の皆さんに、すぐに使える企画書作成、プレゼン発表のコツを3回にわたって分かりやすく紹介していきます(“男子”と銘打っていますが、もちろん女性やベテランの皆さんを排除するものではありません)。
第1回は「企画書作成のABC」として、社内のサポートを得られる企画書作成のコツをお伝えします。
製造業にとって、技術開発部門や製造部門は会社の基盤そのものであり、誰もがその重要性を認めている部門です。しかしながら評価という観点になると、「新技術を製品化して当たり前」「生産性を向上させて当たり前」「不良をなくして当たり前」と、開発や改善の努力が、他部門に比べるとあまり高く評価されないな、と感じられている方も多いと思います。
では、なぜこのような状況が生じてしまっているのでしょう?
企業ごとにさまざまな要因はあると思いますが、共通する要因としては「技術系の方はアピールが苦手」というところがあるかと思います。
筆者はこれまで数十社の製造会社を見てきましたが、技術系部門に勤務する“技術系男子”の共通点は、「とにかく仕事熱心」「知的好奇心が高い」「課題を見つけると即改善」など、まさに日本経済の土台を支えてきたものと感じます。
そして日本人らしさともいえる、「誰にも評価されなくたって、結果として会社やお客さまの役に立てればいい」という考え方も、他部門に比べてとても強いように感じます。
人事労務の世界では、人材活用には「アメ(報奨)とムチ(罰)」を使い分けるのが肝要とされています。
しかし、技術系男子は「アメ」がなくても頑張ってくれる存在のため、ついつい会社もそれに甘えてしまう(=当然と思ってしまう)という状況が生じてしまっているのです。もちろん会社も意図的に「アメ」を与えないようにしているわけではありません。
以前ある企業の経営者とこの議論をしたことがありますが、「技術部門の頑張りが、分かりやすい情報としてなかなか伝わってこないんだよ。生産系の役員は口下手な方だし、営業系の役員はその技術や改善の何がすごいのかも分からないしね」というのがその方の意見でした。これはごく一例ですが、皆さんの会社でもこれに近いような状況が想像できるのではないでしょうか?
今回取り上げる「企画書」は、上司や意思決定者とのコミュニケーションを円滑にし、適切な判断をもらいやすくする稟議ツールであると同時に、自然な形でご自身やチームの努力や問題意識の高さを会社内に効果的にアピールできる、非常に優れたツールでもあります。
これまで口頭やメールで相談し、OKをもらって進めていたような改善も、企画書という形を通じて行うことで、たとえ上司がアピール下手なタイプでもその内容をそのまま上長へ示すことができますし、その上長もさらにその上へ「こんなことをやろうとしている」と、報告しやすくなります。ほんの2枚の企画書を作るだけで、そのリターンは自身にも、上司にも、チームにも戻ってくるのを実感いただけるはずです。
いよいよ次からは、これまで企画書はほとんど作ったことがないという方に向けて、分かりやすく、ABCのステップで企画書作成のポイントをお伝えします。
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