IEは、「科学的管理」を提唱したF. テイラー(Frederick Winslow Taylor)やギルブレス(Frank Bunker Gilbreth)の創案した動作(作業)研究の手法が源流ですが、その後、企業の発展とともにその内容が管理者や経営トップ層にまで拡大されてきました。現在、IEといった場合には、さまざまな手法や視点からの分析が取り入れられています。
実際にはこれらを個別に扱うというよりは、現場の状況に合わせて複合的にさまざまな方法を取り入れて分析を行っていくのが一般的です。本稿ではそれらの中から、IEで使われる主な手法をカテゴリごとに分類して紹介します。
IEに含まれるさまざまな手法やその特性を理解しておけば、状況に合わせてさまざまな組み合わせのバリエーションを実施できるようになります。また、体系的に学習する場合にも、この分類を理解しておくと後々役立つことでしょう。
工程分析とは、素材から製品に至るまでの製造工程に対し、より生産性の高い工程系列を設計する手法で、研究対象は物です。
作業を行ううえの量的な基準を決める手法で、研究の対象は人と機械が中心です。
作業の「ムリ」「ムダ」「ムラ」をなくし、疲労軽減、品質向上、時間短縮、経費節減などを行う手法です。人(Man)、機械(Mecha)、材料(Material)の3Mが研究対象となります。
工場の配置計画の意味で、工場の立地、工場建設、工場配置、設備配置、作業配置などのための手法です。
コストに関し、これを科学的に分析し、システマティックな改善活動を行っていく手法です。
IE活動を行っていくうえには、「QC七つ道具」などの統計的な考え方を絶えず応用する必要があります。個々の現象に気を取られないで、全体を正しく把握していくことが大切です。
企業の経営管理や各種のシステムを改善したり、または新しいシステムを設計するために用いる高度な数学手法です。
企業における複雑な問題、関係などを分析しようとする場合に、いわゆる最適解を得るために方程式によって解くよりは(そのような場合には不可能なことが多い)シミュレーションモデルを作って、実験を繰り返し行って統計的に信頼できる結果を得た方がいい場合があります。そのようなときにシミュレート(模擬実験)する方法です。
作業は、機械と人間によって行われるものです。機械工学が進んでくると機械を取り扱う人間の問題が盛んに研究されるのは自然の傾向です。人間工学という学問のうちに含まれるものは、機械設備を、より能率的な作業方法に改良する設計の問題、疲労の問題、災害の問題、肉体的作業条件の改良の問題などが含まれます。
以上のようなIEの手法は、IEの専門家の人たちによって発展してきた手法と、ほかの技術手法を転用したものとに分かれます。ほかの技術手法から転用されたものとしては、OR手法、統計手法などがあり、そのほかは大体がIEの専門家の人たちによってつくり出された手法です。
これらのうち、企業において実際に使用されている手法には以下のものが挙げられます。
上記以外の、比較的新しい手法としては、以下の手法が注目されているようです。
前述のように、実際にはこれら分類のうちの1つの手法のみを選択する必要はありません。例えば、「標準時間の設定」というIEの1つの機能と手法との関係は、必ずしも1対で対応していくのではなく、1つの機能のために、いくつかの手法が活用される場合が多く発生します。
また「標準時間の設定」に対しては、作業測定、動作分析、工程分析などの手法が活用されると同時に、これらの手法は、ほかのIE機能にも多く活用されます。ですから、状況に応じてさまざまな手法を組み合わせながら目的に近づけていくことが大切です。
IEは、生産の基本要素である3Mからなる生産活動を効率化してQCDを達成することを目的としたものですから、人や機械設備の動き、現場でのモノの流れ、生産方式、作業組織、情報の伝達方式などの基本的な手法やその状況を顕在化する各種のIE手法などを修得し、改善実践を絶え間なく繰り返すことによって、具体的な応用問題に対応していくことができるようになります。
本稿では、IEが取り扱う範囲や問題に対応するための各種の手法を把握しておいていただけると幸いです。
MIC綜合事務所 所長
福田 祐二(ふくた ゆうじ)
日立製作所にて、高効率生産ラインの構築やJIT生産システム構築、新製品立ち上げに従事。退職後、MIC綜合事務所を設立。部品加工、装置組み立て、金属材料メーカーなどの経営管理、生産革新、人材育成、JIT生産システムなどのコンサルティング、および日本IE協会、神奈川県産業技術交流協会、県内外の企業において管理者研修講師、技術者研修講師などで活躍中。日本生産管理学会員。
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