長年にわたりおびただしい数の失敗事例を研究してきたことで見えた! 設計成功の秘訣(成功シナリオ)を伝授する。(編集部)
「氷を水に、水を蒸気に」というように、いまあるものを相変化させると、画期的に設計改善できる。設計で頭が煮詰まったときに相変化を思い出すと効果的である。
昔、筆者は楽器工場を見学した。そこでは図1のように、トランペットのパイプをぐるっと90度曲げていた。
曲げた後、パイプの断面が楕円(だえん)形になると、出てくる音が違ってくる。だから曲げた後も、断面は真円に保たねばならない。こういうときは、普通、パイプの中に砂を詰める。街の配管屋さんは砂をトントンと詰めてからベンディング(曲げ加工)する。でも砂は内面に傷を付けてしまう。さて、トランペットはどうやってベンディングしたのか。
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似たような問題。ウイスキーボンボンはチョコレートの中にウイスキーのアルコール液体(酒)が入っている。ところがチョコレートの球殻はどこにもつなぎ目がない。どうやってアルコールを入れたのだろうか。
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われわれが扱うほとんどの結晶は、水溶液を加熱するほどたくさん溶け、冷却すると溶けなくなる。熱い紅茶に砂糖をたっぷり入れて飲んでいると、そのうち冷めてきて、砂糖はカップの底に沈殿する。例外は食塩、すなわち塩化ナトリウムである。小学4年生の理科の問題でも、「ホウ酸は温度を上げると、沈殿していた結晶は溶ける。しかし、食塩は溶けない」と教える。
確かに、沖縄の海はオホーツクの海よりもショッパイ、というわけではない。食塩の溶解量は温度によらず、一定である。
塩化ナトリウムと同じように溶解量が一定なのが塩化カリウムで、寒剤としてよく使われる。つまり、氷点下に冷却しても水溶液は「モル凝固点降下」(*溶媒1kgに対し溶質1mol含まれる場合の凝固点降下度)で凝固せず、しかも沈殿せず、マイナス10度くらいの寒剤として使える。
さて、オホーツクの海の氷はショッパイか? 図2のように昔、流氷でオンザロックしよう、という宴会に参加した。例えば22%の塩化ナトリウム水溶液の寒剤温度はマイナス21度である。ショッパイのか。
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