一時期「組み込みLinux」が盛り上がったが、その後「Linuxを採用したところは苦労している」といった話もしばしば耳にした。FOMAへの採用以来華々しい話題も乏しかったが、今年のESECではLinux関連製品が印象的だった。その中からいくつか紹介しよう。
ACCESSブースでは、同社が2月に発表したモバイル端末用Linuxベースプラットフォーム「ACCESS Linux Platform」(ALP)が初登場(注)。同社によるPalmSource買収の成果がいよいよ一般公開されることになった。
ALPは、標準のLinuxカーネルやGNUソフトウェアをベースに、ACCESSおよびPalmSourceがJava VMやPalm OSエミュレータ、新規開発のUIであるMAX(Mobile Application eXperience)、NetFront Browserなどを搭載。会場ではGTKベースのアプリケーションやPalm OSエミュレータなどをデモしていた。スマートホンなど、多機能な端末への採用を狙っているという。先行するSymbian OSおよびWindows Mobileとどう競合していくのか、要注目である。
ソフィアシステムズのブースでは、6月26日に発表された話題のPHP端末「Sandgate WP(W-SIM Phone)」が来場者の注目を集めていた。ウィルコムが提唱するW-SIM対応PHP情報端末「WILLCOM SIM STYLE」の開発プラットフォームで、2006年8月提供予定。シンプルでコンパクトなデザインながら、1.3メガピクセルのCCDカメラ、2.2インチTFT液晶(QVGA、26万色)、W-SIMスロット、USB 1.1 MiniB、MiniSDスロット、IrDA、Bluetoothを搭載。CPUはインテルのPXA270で、メモリはSDRAM 64MbytesとFlash ROM 128Mbytes。OSとなる組み込みLinuxおよびソフトウェア開発プラットフォーム「W-SIMミドルウェア」は、富士通ソフトウェアテクノロジーズが担当。
Sandgate WPの発表以来、個人での購入希望も多数寄せられているとのことだが、現時点では個人への対応は未定とのこと。
同じくLinuxによる通信系の展示としては、ソフトフロント、フリースケール、ウインドリバー3社によるSIP/VoIP製品開発用リファレンスボードがあった。ソフトフロントがSIP/VoIPミドルウェア、フリースケールが「i.MX31」プロセッサ(ARM11コア)、ウインドリバーが「Wind River Platform for Consumer Devices, Linux Edition」を提供する。スマートホンやIP TV電話などへの採用を目指すとしている。
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