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ワイヤレス給電センサーで空調費用26%減、エイターリンクがソリューションを発売組み込み開発ニュース

エイターリンクは、空間伝送型ワイヤレス給電ソリューション「AirPlug」の一般販売を2024年4月1日に開始すると発表した。

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 米国スタンフォード大学発のスタートアップ企業エイターリンクは2024年3月21日、空間伝送型ワイヤレス給電ソリューション「AirPlug」の一般販売を同年4月1日に開始すると発表した。

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新製品を手にしたエイターリンク 代表取締役 岩佐凌氏(左)と、代表取締役 CTOの田邉勇二氏(右)

スタンフォード大学発のワイヤレス給電ベンチャー

 エイターリンクのワイヤレス給電技術はもともと、米国スタンフォード大学でエイターリンクの代表取締役 CTOの田邉勇二氏が研究してきたバイオメディカルインプラントにおいて、体内に埋め込んだデバイスに体外から電源供給を行うために開発された。この技術を医療分野だけではなく、より幅広く展開するために、同社の代表取締役/CEOである岩佐凌氏と意気投合し、2020年8月に設立したのがエイターリンクである。

 ワイヤレス給電技術にはさまざまな種類があるが、エイターリンクが狙っているのは、小さな電力供給しかできないが、空間のどこにいても給電できるという技術だ。開発した技術では、複数の送信機からのマイクロ波で、10〜20mの距離で、1〜2mWオーダーの電力を供給する。また、複数の送信機を活用することで角度依存も小さく、一定空間内で安定した電力を供給できる。さらに低消費電力で、さまざまな場所で活用できることが特徴だ。送電側から受信側への送電はブロードキャスト方式で920MHz帯の電波を使用し、受信側から送信型へのデータ送信はBluetooth Low Energyを使用している。

 この技術を生かし、FA、ビルマネジメント、医療などの分野で協業を通じた実証を進めて確立したのがAirPlugである。AirPlugは「電波を用いて人の居住空間にワイヤレス給電空間を作る」ことを目指す空間伝送型ワイヤレス給電ソリューションだ。AirPlugを活用することで、部屋内で配線を気にすることなくセンサーを自由に設置し、人近くの環境情報を基にビルシステムを統合制御することができる。これにより、空調コストなどを下げつつ快適性を維持し、オフィスワーカーのストレスを下げることができるという。三菱地所、竹中工務店、三菱電機、エイターリンクによる事前実証では、空調コストを26%削減できたとしている。

ワイヤレス送電機と受電機能付きセンサーを発売

 今回新たに製品として提供するのは、このAirPlugのワイヤレス給電送信機2機種と受電機能付きIoTセンサー1機種だ。送信機である「AirPlug PowerTx-C」は、システム天井や一般天井に埋め込んで設置するタイプで、空間内の意匠を損なわずに短時間の設置工事で高効率のワイヤレス給電を行うことができる。

photophoto AirPlug PowerTx-C(左)と天井に埋め込んだ様子(右)[クリックで拡大]

 「AirPlug PowerTx-D」は照明用のダクトレールに工事不要で簡単に設置できる送信機モデルだ。既存オフィスや施設リノベーションなど幅広いユースケースに対応している。

photophoto AirPlug PowerTx-D(左)とダクトレールに設置した様子(右)[クリックで拡大]

 受電機付きIoTセンサーである「AirPlug Sense-T」は、ワイヤレス給電送信機から受電し、机の上やパーテーションなどに設置することで、周辺の温度や湿度、位置情報を発信するセンサーデバイスだ。

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AirPlug Sense-T[クリックで拡大]

 AirPlugのシステムは、これらの機器とデータオーガナイザー機能を持つ「Sumit」で構成される。IoTセンサーから得られたデータは送電機を通じて、Sumitに集約される。Sumitはこれらの分析や解析をした後、制御データなどに変換し、制御システムに送り出す役割を担う。これらの一連のシステムの導入で「価格目安としては1m2当たり5000円程度としている。AirPlugを使用して削減した消費電力量によるROI(投資対効果)を考えると、LED照明などと同様に導入できるところは数多く存在すると考えている」(エイターリンク 代表取締役 岩佐凌氏)。

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AirPlugによる一連のシステムイメージ[クリックで拡大]

 エイターリンクでは今後、これらの新製品でビルマネジメント分野での導入拡大を推進していく。「照明センサーやトイレのドア、換気に関連するところなどさまざまな領域での展開が期待できる。現在は一連のソリューション全体をエイターリンクで提供しているが、今後は専用チップのみの販売も計画しており、自社センサーのワイヤレス給電化を考える企業などへの提案も行っていきたい」と岩佐氏は述べている。これにより、来期の売上高は20億円、3年後には100億円を目指すとしている。

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