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躍進する東芝パワー半導体、生産能力向上のカギは増床とIoT活用メイドインジャパンの現場力(28)(1/2 ページ)

東芝デバイス&ストレージのディスクリート半導体の販売が好調だ。生産能力の増強を進めており、2021年度には売上高2000億円、営業利益率10%の実現を目指している。増床や生産性改善などを進めるディスクリート半導体の拠点「加賀東芝エレクトロニクス」(石川県能美市)の取り組みを紹介する。

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 東芝デバイス&ストレージのディスクリート半導体の販売が好調だ。自動車向けや通信基地局向けなどでパワー半導体への需要が高まっていることを背景に、生産能力を増強。2021年度(2022年3月期)には売上高2000億円、営業利益率10%の実現を目指している。増床や生産効率改善などで生産能力を高めるディスクリート半導体の生産、開発拠点「加賀東芝エレクトロニクス」(石川県能美市)の取り組みを紹介する。

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加賀東芝エレクトロニクスの外観(クリックで拡大)出典:加賀東芝エレクトロニクス

躍進する東芝のディスクリート半導体

 東芝では、社会インフラやエネルギー領域などにおいて、CPS(サイバーフィジカルシステム)テクノロジーによる新たなソリューションを展開することを目指している。東芝デジタルソリューションズが展開するITと並び、これらの事業を支える“基盤”の位置付けとなるのが、東芝ストレージ&デバイスが展開する電子デバイス事業である。経営再建の流れの中でNAND型フラッシュメモリを展開していた東芝メモリは売却したが、東芝デバイス&ストレージの2018年度(2019年3月期)の売上高は9009億円となっている。その内半導体部門は3549億円を占め、半導体事業の中でも特に成長を示しているのがディスクリート半導体である。

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加賀東芝エレクトロニクス 取締役社長 徳永英生氏

 ディスクリート半導体の製造拠点は国内4拠点、海外1拠点を保有するが、前工程から後工程まで一貫生産を行う中核拠点となるのが加賀東芝エレクトロニクスだ。

 加賀東芝エレクトロニクス 取締役社長 徳永英生氏は「システムLSIが人体の脳の役割を果たすとすると、ディスクリート半導体の役割は、実際にさまざまなものを動かす筋肉となる。特に力を入れているのが車載機器用途や産業機械用途、5Gなどの通信機器用途で、パワー半導体の引き合いが強い」と述べている。

 加賀東芝エレクトロニクスは1984年12月に半導体製造の後工程を担う工場として設立され、その後、前工程を含む一貫生産の工場となった。従業員数は約900人で、敷地面積は約23万m2、建屋の延べ床面積は約7万4000m2となっている。

 加賀エレクトロニクスが扱う、ディスクリート半導体には、ロジックや小信号デバイス、パワーデバイス、ハイパワーデバイス、光半導体などがあるが、その中でも特に今成長しているのが、8型ウエハによるパワーMOSFET、IGBTなどのパワーデバイスである。徳永氏は「モノづくり力や先端技術開発力、解析力などがある。顧客に応じた柔軟な開発や製品の提供を行える点が加賀東芝エレクトロニクスの強みだ」と述べている。

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加賀東芝エレクトロニクスの主要製品(クリックで拡大)出典:加賀東芝エレクトロニクス

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