パナソニックが目指すAI活用の方向性とは「AIも半導体設計も同じことが起こる」:人工知能ニュース(1/2 ページ)
機械学習自動化プラットフォームを展開するデータロボットが開催した「DataRobot×パナソニック トークセッション〜日本の製造業におけるAI利活用の最前線〜」で、パナソニック ビジネスイノベーション本部 AIソリューションセンター 戦略企画部 部長の井上昭彦氏が登壇。同社におけるAI技術普及の取り組みなどについて語った。
機械学習自動化プラットフォームを展開するデータロボット(DataRobot)は2018年5月31日、東京都内で報道機関向けに「DataRobot×パナソニック トークセッション〜日本の製造業におけるAI利活用の最前線〜」を開催した。同セッションには、パナソニック ビジネスイノベーション本部 AIソリューションセンター 戦略企画部 部長の井上昭彦氏が登壇し、同社におけるAI(人工知能)技術普及の取り組みなどについて語った。
井上氏は、2000年にパナソニックに入社後、家電統合プラットフォーム「UniPhier」など半導体の開発設計を担当した後、デジタルカメラ「LUMIX」の画像認識機能の開発を手掛け、現在は本社直轄のビジネスイノベーション本部でAI技術の普及と活用を目指すAIソリューションセンターの戦略企画部長を務めている※)。井上氏は「高い品質のモノを顧客に届けるために組織化されていたパナソニックだが、インターネット時代に対応できなかった側面がある。これからのIoT(モノのインターネット)、AIの時代はリベンジしたい。そのためにもAIは積極的に取り込もうとしている」と語る。
※)関連記事:パナソニックが目指すAIの“使いこなし”とは
データロボットは日本オフィスを2017年1月に開設しているが、パナソニックはそれ以前からのユーザーだ。パナソニックが2015年に発表した「技術10年ビジョン」では、2つの重点領域のうち1つが「IoT/ロボティクス領域」となっており、同領域ではAIに関連する人材の獲得や育成を進めることとなった。「AI関連の取り組みを進めてデータがたまり始めてくると、そのデータを使った何かをやるにはいいツールが必要になる。そこでデータロボットに目を付けた」(井上氏)という。
井上氏が担当してきたパナソニックにおけるAI推進の体制は、数人で立ち上げた「AI強化推進室」から始まる。2017年4月にAIソリューションセンターが設立され、現在は約100人が所属している。また、2022年までにAI人材を全社で1000人まで増やす方針が示されているが、2018年4月までで約300人の育成が完了したところだ。井上氏は「今後年間で100〜200人を育成するとともに、育成したAI人材による育成も含めれば、2022年までの1000人というラインが見えてくる」と述べる。
パナソニックのAI育成プログラムは大阪大学の協力を得て実施しており、半年間で10回、座学や演習を交えて、最後に論文を書くという本格的なものだ。育成プログラムの受講者の対象として想定しているのは、全社で4000〜5000人というソフトウェア開発者になる。「現時点では、研究開発の“前線化”のために各カンパニーに移籍した研究開発系が多くの割合を占めている。事業部だと若手が受講しているものの、リーダークラスには浸透しきれていない」(井上氏)とした。
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