コスモエネルギーホールディングスと群馬大学は、地域分散型データインフラの事業化に向け、エッジデータセンターの実証を開始する。群馬県内にあるSS跡地を活用し、医療データ処理や研究開発での有効性を検証する。
コスモエネルギーホールディングスと群馬大学は2026年10月30日、地域分散型データインフラの事業化に向け、エッジデータセンター(エッジDC)の実証(PoC)を開始すると発表した。実証期間は同年11月から2027年9月までを予定している。
エネルギー企業が保有する拠点を活用したエッジDCの実証は国内初(同社調べ)の取り組みとなる。エッジDCは、データが発生する現場の近傍で処理を行う小規模なデータセンターであり、都市部に立地する大型のビル型データセンターと比較して地域の電力網への負荷が小さい省電力型の設備だ。
コスモエネルギーホールディングスと群馬大学による実証では、群馬県内にあるコスモエネルギーグループのサービスステーション(SS)跡地2拠点にエッジDCを設置する。各拠点にはGPUサーバや電源、冷却設備などを搭載し、インターネットから切り離された専用通信網である閉域網で相互に接続する。
同実証の設備は、群馬大学が進めるフィジカルAI(人工知能)や医療データ処理などの先端研究に活用される。現場近くで処理して必要なデータのみを転送することで通信コストや転送量を削減できるか、通信遅延を低減してリアルタイム処理を可能にできるか、閉域網内で処理することで機密性の高いデータを学外に出さず安全に扱えるかといった項目を検証するという。
両者の役割として、コスモエネルギーグループはエッジDCの設置や運用、閉域網の構築、連携企業との調整を担当する。群馬大学は研究における同設備の利用と有効性の評価を担うとしている。
コスモエネルギーグループは、長期ビジョン「Vision 2035」において、AIの普及やデジタル化の加速、データセンター需要の拡大を重要な事業環境の変化と位置付ける。工場や医療/物流拠点など地域産業の現場では、映像やセンサー情報といった大量データの活用が喫緊の課題となっており、同グループは現場で生まれるデータを石油に次ぐ新たな戦略資源と捉えている。
都市部の大規模データセンターやクラウドへのデータ転送に伴う通信コストの増大、遠隔通信による遅延、機密データの外部保存の難しさといった課題に対し、同実証を通じてエッジコンピューティングの有効性を確認する。同グループが全国に有するSSやSS跡地、他の既存事業における遊休地を活用することで、新たな用地確保を伴わずに地域分散型のデータ処理拠点を配置できる利点があるという。
同グループは、同実証で得られた知見を基に製造や物流、医療、インフラ点検などの幅広い分野での活用を検討し、エッジDCの事業化を目指す方針だ。将来構想として、群馬県内での取り組みをモデルケースとしながらグループの保有拠点へ展開し、地域内でデータを処理する「データの地産地消」を推進することで、製造業が集積する同県をはじめとした地域企業の生産性向上や行政サービスの高度化を支援する考えである。
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