パナソニック エナジー CTOの渡邊庄一郎氏が報道陣の合同取材に応じ、「BATTERY JAPAN【秋】〜第21回[国際]二次電池展〜」で行った基調講演の内容を踏まえて、好調なAIデータセンター事業の動向や電池技術の方向性や事業の考え方などについて説明した。
パナソニック エナジーは2026年9月17日、東京都内において同社 副社長執行役員 CTOの渡邊庄一郎氏への合同取材に応じ、「BATTERY JAPAN【秋】〜第21回[国際]二次電池展〜(以下、国際二次電池展)」(2026年9月9〜11日、幕張メッセ)で行った基調講演の内容を踏まえて、好調なAI(人工知能)データセンター事業の動向や電池技術の方向性や事業の考え方などについて説明した。
渡邊氏は2025年に開催された国際二次電池展の基調講演に登壇し「パナソニック エナジーの挑戦:サステナブル・グロースの実現に向けて」と題して、パナソニック エナジーの取り組みについて説明している。その際に電池事業を取り巻く環境を「混沌(こんとん)」と表現していたのに対し、2026年度の基調講演では電池事業を取り巻く環境が「転換」の時期にあり、見え方が変わっていると説明している。
1年間で実際にどのような変化があったのかについて、渡邊氏は「2025年の講演でお話した時期は、ネガティブなニュースが頻繁に報道されているタイミングであった。この部分に対して、『パナソニック エナジーはいうほど悪くないよ。結構頑張っているよ』ということを伝えるのが主な趣旨であった。これに対し、2026年は車載向けの電池セルは需要に応えられないぐらいに生産数が増え、データセンター向けの需要も増加している。米国のさまざまな転換によって、稼働していなかった日本の工場や米国の新規の工場を埋めるくらいの需要が読めている。社会が進化していく中でわれわれの事業がマッチしており、2025年度と比べるとすごくポジティブなメッセージを強く出せると思い、講演の場で“転換”とお伝えした」と振り返る。
近年、パナソニック エナジーは分散型データセンター向けの事業で高いシェアを維持しており、特に大手クラウドベンダーなどのハイパースケーラーに製品が導入されている。データセンターの拡大に伴い、製品の売り上げも増えている中、同社は需要に対してタイムリーに電池を供給できている点が大きな強みとなっており、市場でもシェアが高まっているという。
この状況を踏まえて、パナソニック エナジーは米国のカンザス(カンザス州デソト市)工場の一部ラインを改修してデータセンター向けのラインに切り替える方針を打ち出している。渡邊氏は「米国のネバダ工場(ネバダ州リノ)は100%車載向けの製品を生産している。カンザス工場はもともと全てのラインを車載向けにしようとしていたが、現在はこの一部をデータセンター向けに振り分けようと意思決定を行った。今後はこの生産ラインの比率はデマンドを見て動かしていく予定である」と語る。
パナソニック エナジーがデータセンター向けの事業で強みを持っているのがBBU(Battery Backup Unit)だ。同製品はデータセンターの稼働を止めないためのバックアップ電池として活用されており、分散型電源方式で電力ピーク時の電力不足を補うことが可能なため、電圧の安定化につなげることができる。そのため、大きく需要が伸びている。
また、ミッションクリティカルな領域で稼働する電池には信頼性/安全性が強く求められるが、この部分に対してパナソニック エナジーは、「電池設計/品質/サプライチェーンの上流管理」の3つの観点に注力し、2012〜2015年にかけて生産体制の見直しを徹底した。電池のリコール発生を防ぐシステムを整えたことにより、2015年以降に生産した車載用電池200億セル以上で電池起因の不具合を発生させておらず、信頼性と安全性を兼ね備えた高品質なモノづくり体制を構築している。
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