AI需要でBBUが急伸 パナソニック エナジーCTOが語る電池事業の「転換期」とは:パナソニック エナジーの次世代AIインフラ戦略(2/2 ページ)

» 2026年10月21日 06時00分 公開
[坪田澪樹,MONOist]
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パナソニック エナジーがBBUの提供を始めたきっかけとは

 同社は2015年頃からBBUの提供を始めており、約10年の実績を保有している。パナソニック エナジーがデータセンター向けに事業を展開することになったきっかけについて、渡邊氏は「2008年ぐらいに円筒電池セルを並べて蓄電池として活用する研究/開発を始めた。最初はロードレベリング的な使い方を想定して開発を進め、さまざまな市場や家庭向けの蓄電池など多様な領域にアプローチをかけたがうまくいかなかった。この中で唯一生き残ったのが、BBUである」と述べる。

 続けて、「電池は停電しているときにものすごく価値がある。乾電池が災害の時に多く売れるのと同じで、電気が無い時にバックアップ電源として機能することは価値が高い。このことを踏まえて、停電時にしっかりと機能するということ自体をバリュー化して、最初はBBUを提供していた。そして、近年では生成AIの計算機能や半導体の性能が劇的に上がり、半導体需要や消費電力量が増えたことにより、ここ3年ぐらいでBBUの需要が一気に伸び始めた」と語る。

 また、パナソニック エナジーはパナソニック インダストリーと提携し、データセンターで重要になる電力負荷変動吸収のデバイスとしてCBU(Capacitor Bank Unit)/スーパーキャパシターの開発にも取り組んでいる。パナソニック エナジーは10年程前から取り組んでいるデータセンター向けの事業を通じて、ハイパースケーラーの顧客と次の世代に向けた準備を進めやすいポジションにあった。この利点を生かして先の需要を早い段階からキャッチし、CBU/スーパーキャパシターの展開に向けた準備を進めている。CBUの第1世代については、2026年度内の生産を予定している。

角型の全固体電池開発に取り組んだ背景

 2026年の国際二次電池展における基調講演の最後には、全固体電池開発の現在地について、少し説明があった。同講演では、150℃の高温環境で使用可能な産業用の小型セルの開発を進めており、コイン型だけではなく角型の全固体電池も出すことを明らかにし、2026年度の第3四半期からサンプルの出荷を予定していることを説明した。

 なぜ角型の全固体電池の開発を決めたのかについて、渡邊氏は「顧客の使い勝手が良さそうという面から角型の全固体電池の開発を決めた。丸(コイン)型の電池だとおそらくレイアウトがしづらいという側面を持っていると思っており、全固体電池の販路を広げるために角型も用意することとなった。温度についても、上限を上げることで用途に余裕が生まれるというアプローチの下で開発を進めている。100℃以上の化学物質の副反応を抑えることは結構難しいため、まずは25℃刻みで性能上げても価値があると思っている」と説明する。

今後のパナソニック エナジーの事業バランスはどうなるのか

 車載向けの事業とデータセンター向けの事業のバランスについて、パナソニック エナジーはどのようになっていくのか。渡邊氏は「はっきりいって狙ってできるものではない。EV(電気自動車)について、特に北米では今後の政権や環境などでおそらく状況が変わってくると思っている。そのため、EV市場の転換点がどのタイミングで来て、これに対してどのように対応するのかが大事である。われわれとしては事業のバランスが良ければ一番うれしいが、デマンドに合わせてどちらの領域にも注力できるように構えていきたい」と述べた。

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