逆浸透には浸透圧が関わります。水は通し、塩は通さない膜(半透膜)を挟んで純水と食塩水を置くと、水は純水側から食塩水側へ自然に移動します(図2左)。この現象が浸透です。浸透により食塩水側の液面は上がっていきます。液面差による圧力と浸透する圧力がつり合うと、水の正味の移動が止まります。このときの圧力差が浸透圧です(図2中央)。
ここで食塩水側に浸透圧を上回る圧力を加えると、食塩水側から純水側へ水を押し出せます。これが逆浸透です(図2右)。
膜の性能は、主に透過流束と阻止率で表します。それぞれ処理量と分離能力に関わります。透過流束は、単位膜面積や単位時間当たりに通過する液量です。1m2の膜が1時間に何Lの水を通すかなどで示します。阻止率は、供給液に比べて透過液中の対象成分の濃度がどれだけ低いかを表す値です。
しかし運転では、性能が下がりうる主な現象が2つあります。1つ目は濃度分極です。膜が阻止した溶質により膜付近で濃度が高くなる現象です(図3)。膜面での濃度が上がるほど浸透圧も大きくなるため、同じ圧力の場合に透過流束が下がります。
2つ目はファウリングです。原水中の懸濁物質や有機物、微生物が膜面や細孔に付着/堆積すること、塩が析出してスケールを作ることを意味します。汚れの種類によっては逆洗や薬品洗浄が必要です。
逆浸透やナノろ過では、供給液を膜面に沿って流すクロスフローにより濃度分極や汚れの堆積を抑えます。膜メーカーの資料には、条件補正した透過水量が10%低下したら洗浄するという逆浸透膜向けの目安もあります。
工業装置では、膜をモジュールと呼ばれる単位で構成して使います。
中空糸型やスパイラル型は、限られた容積に多くの膜を収められます。ただし膜面積を高密度に詰め込むと流路が狭くなるため詰まりや洗浄方法への配慮が必要です。原水の性状や洗浄性、設置スペースを考えてモジュールを選びます。
今回は、膜分離で何をどのように分けるか、逆浸透の原理、膜の性能と運転上の課題を解説しました。膜の選定では、分離したい成分だけでなく膜面の汚れやすさと洗浄方法の考慮も大切です。次回は膜分離の設計計算について解説します。
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