大阪大学は、イオンを段階的に放出して歯髄の炎症抑制と象牙質の修復を促す「スマート・バイオアクティブガラス」を開発した。動物実験で段階的な炎症抑制と修復象牙質の形成を確認している。
大阪大学は2026年9月14日、リチウムイオンとストロンチウムイオンを段階的に放出し、歯髄の炎症抑制と修復象牙質の形成を促す「スマート・バイオアクティブガラス」を開発したと発表した。
バイオアクティブガラスは、体内の水分と触れると成分がイオンとして溶出し、細胞や組織の機能に影響を与えるガラス材料だ。今回開発した技術は、アルミニウムイオンの導入によりガラスの溶解速度を精密に制御する手法を応用している。
まず、速やかにリチウムイオンを放出するガラスと、緩やかにストロンチウムイオンを放出するガラスの2種を組み合わせて複合粒子化した。数日で溶解するリチウムイオンが溶出して歯髄の炎症反応を抑え、続いて数カ月かけて徐々に溶解するストロンチウムイオンが徐放され、象牙質の再生修復を促す。
ヒト歯髄細胞を用いた実験では、炎症関連遺伝子の発現低下と象牙質形成能の向上を確認した。さらに、ラットの歯髄炎モデルで露出した歯髄を複合ガラス粒子で覆った結果、処置3日後に炎症が抑制され、28日後には修復象牙質が形成された。
むし歯が深部まで進行し歯髄に達すると、多くの場合で抜髄処置が必要とされる。今回の研究成果は、歯髄を保存可能にする新しい治療への応用が期待される。
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