川崎重工とNVIDIAが目指す「次世代デジタルシップヤード構想」とは何か:船も「CASE」(3/3 ページ)

» 2026年10月06日 07時00分 公開
[長浜和也,MONOist]
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川崎重工とNVIDIAの協業で船造りはどう変わる

 海外では、設計情報のデジタル化、造船所のデジタルツイン、ロボット施工などが、それぞれ実用段階に入りつつある。川崎重工の構想で注目されるのは、これらを個別のシステムとして導入するのではなく、既に進めてきたBOM/BOPに基づく商船DXを基盤として、一つの生産システムに組み込もうとしている点だ。

 坂出工場では、BOM/BOPに基づく設計/生産情報を起点に、Omniverseなどを使ったデジタルツインによる工程検討、Isaacを利用したロボットの動作計画/シミュレーション、施工/検査データの利用へ対象を広げる。さらにAIエージェントを設計、調達、製造、品質管理の作業支援に利用し、建造時に蓄積した情報を就航後の運用、保守、改造にも活用する構想を示している。

 一方、坂出工場で構築するシステムの具体的な姿は、まだ明らかになっていない。BOM/BOPとOmniverseをどのように接続するのか、デジタルツインが工場や設備、建造工程のどこまでを対象とするのか、現場からどのようなデータを取得するのか、Cosmosの他、ビジョンAIアプリケーションプラットフォーム「NVIDIA Metropolis」や、組み込みAIボード「NVIDIA Jetson」をそれぞれどの用途に使うのかといった詳細は公表されていない。投資額や完成時期、生産性や建造能力についての数値目標も示されていない。

 今後の焦点は、BOM/BOPに基づく商船DXとデジタルツイン、ロボット、現場データを坂出工場の実際の建造工程でどこまで統合できるかにある。川崎重工は同工場で技術検証と現場課題の抽出を進め、各技術を段階的に実証/実装する計画だ。

次世代デジタルシップヤードの技術検証の中心となる川崎重工の坂出工場 次世代デジタルシップヤードの技術検証の中心となる川崎重工の坂出工場。BOM/BOPに基づく商船DXを基盤に、NVIDIAのデジタルツイン技術やAIと川崎重工のロボット技術を組み合わせ、設計・生産工程と施工・検査などの現場データを連携する仕組みを段階的に実証・実装する[クリックで拡大] 出所:川崎重工

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