海外では、設計情報のデジタル化、造船所のデジタルツイン、ロボット施工などが、それぞれ実用段階に入りつつある。川崎重工の構想で注目されるのは、これらを個別のシステムとして導入するのではなく、既に進めてきたBOM/BOPに基づく商船DXを基盤として、一つの生産システムに組み込もうとしている点だ。
坂出工場では、BOM/BOPに基づく設計/生産情報を起点に、Omniverseなどを使ったデジタルツインによる工程検討、Isaacを利用したロボットの動作計画/シミュレーション、施工/検査データの利用へ対象を広げる。さらにAIエージェントを設計、調達、製造、品質管理の作業支援に利用し、建造時に蓄積した情報を就航後の運用、保守、改造にも活用する構想を示している。
一方、坂出工場で構築するシステムの具体的な姿は、まだ明らかになっていない。BOM/BOPとOmniverseをどのように接続するのか、デジタルツインが工場や設備、建造工程のどこまでを対象とするのか、現場からどのようなデータを取得するのか、Cosmosの他、ビジョンAIアプリケーションプラットフォーム「NVIDIA Metropolis」や、組み込みAIボード「NVIDIA Jetson」をそれぞれどの用途に使うのかといった詳細は公表されていない。投資額や完成時期、生産性や建造能力についての数値目標も示されていない。
今後の焦点は、BOM/BOPに基づく商船DXとデジタルツイン、ロボット、現場データを坂出工場の実際の建造工程でどこまで統合できるかにある。川崎重工は同工場で技術検証と現場課題の抽出を進め、各技術を段階的に実証/実装する計画だ。
フォックスコンがフィジカルAIで実現する「AX」とは、NVIDIAと川崎重工も講演
川重が産業用ロボットのプログラミング支援ソフト、高精度シミュレーションも
日の丸舶用水素エンジンプロジェクトが陸上試験を開始、2028年度から実船実証へ
川崎重工が「AI-Readyな保全」提案、屋内位置情報で現場作業を丸ごと可視化
安全離着岸支援システム「係船索張力監視装置」を販売開始
カワサキが二輪やオフロード四輪を電動化、大型バイクはEVより水素エンジンが有力Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
モビリティの記事ランキング
コーナーリンク