オープン化する産業用ネットワークを追う、ITとOTの融合が進む現在地とは:産業オープンネット展2026レポート(3/3 ページ)

» 2026年09月29日 06時00分 公開
[関行宏,MONOist]
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CC-Link IE TSN認証のスイッチICとE2B――アナログ・デバイセズ

 半導体メーカーで出展していたのがアナログ・デバイセズとマイクロチップ(Microchip Technology)の2社である。

 アナログ・デバイセズは、2025年夏に発表した産業用イーサネットTSNスイッチ「ADIN6310」の評価ボードを展示した。ネットワークとしてはCC-Link IE TSNを用い、サードパーティー製のネットワークカードから、ADIN6310を経由して、三菱電機のACサーボアンプにコマンドを送ってモータを回すデモと、カメラの映像を伝送するデモを行っていた。

 ADIN6310は6ポート構成のスイッチで、時刻同期、タイムセンシティブブリッジング、冗長化機能、高精度なタイムスタンプ機能など、TSNのイーサネットを構成する複数の規格に対応したスイッチICである。3ポートのADIN3310と合わせ、CC-Link協会からCC-Link IE TSNの認証を取得済みだ。

写真内中央のボードに産業用イーサネットTSNスイッチ「ADIN6310」が搭載されている 写真内中央のボードに産業用イーサネットTSNスイッチ「ADIN6310」が搭載されている。同左側の基板はCC-Link IE TSNネットワークのマスターノード(サードパーティー製)。同下側の黒い筐体は三菱電機のACサーボアンプである。マスターノードからADIN6310を介してモータを制御している[クリックで拡大]

 また、10BASE-T1Sと10BASE-T1Lを組み合わせたデモシステムも展示した。10BASE-T1Sはマルチドロップ型のイーサネット規格(IEEE 802.3cg)で、安価なツイストペアケーブルが使えるのが特徴だ。

 センサー出力をマイコンを使わずに直接10BASE-T1Sに変換するアナログ・デバイセズ独自の「E2B(Ethernet to Edge Bus)」をベースにしたデモで、E2Bボードに搭載されている温度センサーの情報を10BASE-T1Sで送出し、仕様上は最長1700mの伝送が可能な10BASE-T1Lに変換した後、300mのケーブルを経由してPCに渡していた。工場やプラントのセンサーネットワークとして提案していく。

マイコンやソフトウェアスタックを使わずにセンサーを10BASE-T1Sに接続するE2Bのデモ マイコンやソフトウェアスタックを使わずにセンサーを10BASE-T1Sに接続するE2Bのデモ。温度センサーが搭載された8枚の基板を10BASE-T1Sでマルチドロップ接続し、別の基板で10BASE-T1Lに変換したのち、300mの同軸ケーブルを経由してPCにセンサーデータを伝送していた[クリックで拡大]

最大100W供給可能な10BASE-T1S MPoE――マイクロチップ

 マイクロチップは、10BASE-T1S MPoEのソリューションを紹介していた。MPoEはMultidrop Power over Ethernetの略で、ツイストペアケーブルで10Mbpsの通信と78.75W以上(Type1)の給電を実現する規格である(IEEE 802.3da-2026)。

 同社は、供給電圧として48Vを使い、40mのツイストペアケーブルを介して、MPSE(パワーソース)から3個のMPD(パワードデバイス)に通信データとともに電力を供給するシステムを展示した。人の存在を検知してヒートポンプを10BASE-T1S経由で制御するなど、ホームオートメーションを想定した構成である。供給可能な電力は合計で最大100Wだ。

 10BASE-T1Sで接続されるリモートデバイスはマイコンを必要とせず、セントラルノードから一括制御するアーキテクチャを採用しており、ソフトウェア開発を簡素化できることをうたう。

マイクロチップの10BASE-T1S MPoEのデモシステム マイクロチップの10BASE-T1S MPoEのデモシステム。写真中央下にあるのは48Vの電源を10BASE-T1Sに供給するボードだ。ノードは電源ボードの左側に1個と右側に2個あり、それぞれ電源分離ボードと10BASE-T1Sボードのペアで構成されている。10BASE-T1Sのマルチドロップノードに合計で最大100Wを供給できる[クリックで拡大]

 もう1つ、10BASE-T1Sエンドポイント(EP)「LAN866x」ファミリーのデモも展示した。エッジのセンサーネットワーク向けに開発したソリューションで、さまざまなインタフェースと10BASE-T1Sとをマイコンやソフトウェアスタックなしで直接変換する。

 エンドポイントICとしては、制御信号を扱うコントロールEP、オーディオノードに適したオーディオEPおよびライティングノードに適したライティングEPの3種類を提供する。これらのうちコントロールEPとライティングEPは、車載ネットワークで使われるサービス指向の通信ミドルウェアプロトコルSOME/IPに対応。また、オーディオEPはAVTPなどのストリーミングプロトコルに対応している。

 展示では、10BASE-T1S EPノードに搭載したジョイスティックの操作に応じて、マスターとなるRaspberry Pi上の画面のグラフィックスを変更したり、他の10BASE-T1S EPノードのLEDを制御したりするデモを行っていた。

マイクロチップの10BASE-T1Sエンドポイント(EP)のデモシステム マイクロチップの10BASE-T1Sエンドポイント(EP)のデモシステム。写真内左上と右上、右下にあるのがエンドポイントのノードであり、Raspberry Piを使った左下のコントローラーにセンサーデータなどを10BASE-T1Sを介して送出していた。各エンドポイントノードはマイコンレス、すなわちソフトウェアスタックレスで構成できる[クリックで拡大]

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