オープン化する産業用ネットワークを追う、ITとOTの融合が進む現在地とは:産業オープンネット展2026レポート(1/3 ページ)

産業用ネットワークの最新技術やソリューションを集めた「産業オープンネット展2026」が2026年9月11日に東京都立産業貿易センターで開催された。本稿では、各ネットワークの標準化団体やネットワークコントローラー、関連ソフトウェアの展示をピックアップして紹介する。

» 2026年09月29日 06時00分 公開
[関行宏,MONOist]

 産業用ネットワークの最新技術やソリューションを集めた「産業オープンネット展2026」が、2026年7月7日のグランキューブ大阪に続き、同年9月11日に東京都立産業貿易センター(東京・浜松町)で開催された。

 工場やプラントで使われるネットワークは、従来のフィールドバスから近年はイーサネットをベースにしたオープンネットワークへと進化し、時刻同期によるリアルタイム制御を基本にしながら、IoT(モノのインターネット)データの収集、カメラ映像の伝送、さらにはITとOT(制御技術)の融合が進められている。

 こうした背景の中、産業オープンネット展では、各ネットワークの業界団体(標準化団体)の他、FA機器、コネクター、ネットワークコントローラー(半導体)、IoTアプリケーション、リアルタイムOSなどのさまざまなベンダーがソリューションや取り組みを披露した。

マルチプラットフォームに対応――ORiN協議会

 業界団体としては、IO-Linkコミュニティジャパン、EtherCATテクノロジーグループ、ODVA TAGジャパン、ORiN協議会、CC-Link協会、日本AS-i協会、FL-net推進委員会、日本フィールドコムグループ、日本プロフィバス協会およびMECHATROLINK協会が、産業オープンネット展に出展した。

 これらのうちORiN協議会は、データ統合ミドルウェアの最新バージョンであるORiN Version 3(以下、ORiN3)を展示した。ORiN(オラインと読む)は、統一的なアクセス手段を通じて、ベンダーや製品の壁を超えてデータ収集を実現する日本発のミドルウェア規格である。誕生は2001年だ。新製品だけではなく旧製品も含め、PLC、FA機器、ロボット設備、カメラなどから情報を収集するアプリケーションを開発できる。ネットワークの物理層は問わない。

 「ORiNプロバイダ」が、各機器が送出するデータの解釈や変換を行う仕組みであり、機器側を変更したり何らかのソフトウェアを追加したりする必要がないのが特徴だ。会員企業によって250を超える新旧製品が既にORiNに対応済みである(ORiNのSDK[ソフトウェア開発キット]にほとんどの対応製品のミドルウェアが同梱されている)。

 これまでのORiN Version 2は、MicrosoftのWindows上でのみORiNプロバイダが動作したが、ORiN3でマルチプラットフォーム化され、Linuxでも動作するようになった。これを機に、製造業だけではなく第一次産業(農業)や第三次産業(医療)など広い分野への応用を提案していく考えだ。今回の産業オープンネット展では、LinuxベースのRaspberry Pi OSが載ったRaspberry PiをORiN3プロバイダとして用い、デンソーの小型ロボットのデータを収集するシステムを展示していた。

ORiN協議会のデモ ORiN協議会のデモ。ディスプレイの左下にある白と赤のボックスがRaspberry Pi 5で、LinuxベースのRaspberry Pi OSを用いて左の小型ロボットからデータ収集していた。右隅に見える黒いボックスはキーエンスのPLCで、こちらはWindowsのノートPCでデータ収集を行っていた。マルチプラットフォーム化で適用範囲を拡大していく考えだ[クリックで拡大]

1600km離れた場所を1μs以下の遅延で結ぶ――CC-Link協議会

 CC-Link協会(CLPA)は、制御通信の正確な時刻同期を実現するCC-Link IE TSNを全面的に押し出していた。

 もともとは三菱電機が開発したフィールドバスのCC-Linkから発展した規格だが、現在は業界団体であるCC-Link協会が仕様策定や普及を担っている。三菱電機の製品以外にも数多くの機器ベンダーがCC-Link IE TSN対応製品を手掛けていて、エコシステムが拡大しつつある状況だ。

 展示ブースの一角では、2025年10月にCC-Link協会、三菱電機および次世代高速ネットワークIOWNを開発しているNTT東日本と共同で行ったCC-Link IE TSNの長距離リアルタイム通信の実証実験の内容をパネル(ディスプレイ)で示していた。

 青森(疑似地点)のCC-Link IE TSNノードと下関(疑似地点)のCC-Link IE TSNノードの間をIOWNで結び、およそ1600kmの通信距離において、遅延性能とゆらぎ性能が規定の仕様を満たしたことを確認した。ノード間の同期精度は1μs以下だったという。

 2026年2月には、CC-Link協会、村田製作所およびTSN over 5Gを手掛けるソフトバンクとともに接続実証を行い、3GPPで定義されている誤差を大きく下回る時刻同期精度を確認した。その内容についてもディスプレイ展示を行っていた。

CC-Link IE TSNの長距離リアルタイム通信の実証実験の内容 CC-Link IE TSNの長距離リアルタイム通信の実証実験の内容。青森(疑似地点)のCC-Link IE TSNノードと下関(疑似地点)のCC-Link IE TSNノードの間をIOWNで結んだときに、1μs以下のノード間の同期精度を確認した[クリックで拡大]
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