欧州ポンプメーカー大手が日本市場に本格進出、データセンター市場に照準FAインタビュー

ドイツに本拠を置くポンプメーカーのWiloが、日本市場に本格進出する。日本法人としてWilo Japan(ウィロジャパン)を設立し、国内外で活況を呈しているデータセンター市場を狙う。今回の進出背景などを聞いた。

» 2026年09月01日 06時00分 公開
[長沢正博MONOist]

 ドイツに本拠を置くポンプメーカーのWiloが、日本市場に本格進出する。2026年8月に日本法人としてWilo Japan(ウィロジャパン)を設立し、カントリーディレクターに花田雄介氏が就く。主なターゲットは、国内外で活況を呈しているデータセンター市場だ。今回の進出背景などを花田氏に聞いた。

先進国で唯一の空白地帯、生産拠点を持つ韓国では既に実績

 Wiloは1872年にドイツのドルトムントで創業した、150年以上の歴史を持つ企業だ。現在は約9000人の従業員を抱えており、グローバルを米州、欧州、AMEA(アジア、中東、アフリカ)の3つの地域に分けて統括し、世界60カ国以上でポンプおよび水処理ソリューションの事業を展開している。2025年度の売上高はグローバルで約19億ユーロ(約3300億円)に上った。

日本でもデータセンターや半導体など先端工場への導入を目指す 日本でもデータセンターや半導体など先端工場への導入を目指す[クリックで拡大]

 アジアにおいて長年ハブ拠点となっていたのが、1989年に設立されたWilo Korea(ウィロ韓国)だ。もともとはLGのポンプ部門が母体となっており、部品加工から一貫して行う工場と強力な販売体制を持ち、400人近い従業員を擁している。ウィロ韓国によれば、韓国ではポンプ市場でトップシェアを持つという。

 花田氏は「Wiloにとっては、先進国の中で日本にだけ現地法人がなかった。ただ、日本にも法人を設立して事業を広げたいという思いはずっとグループにはあった。近年は、ウィロ韓国の日本語が堪能な専任社員が出張ベースで日本国内の顧客に対応していたが、さらなる事業拡大に向けて今回、日本法人を設立することになった」と語る。

 見据えるのは、AI(人工知能)の普及を背景に各地で建設が発表されているデータセンター市場だ。給水から排水までデータセンターインフラに不可欠なポンプシステムを保有しており、サーバやデータセンター全体向けのHVACシステムなどトータルソリューションを提供する。Wiloのシステムは、欧州や韓国では多数の採用実績があり、Microsoftが韓国に開設したデータセンターにも採用されているという。

「海外では相当数の事例がある。これから増えていく日本のデータセンターの需要に合わせて、ウィロのソリューションを展開していきたい」(花田氏)

データセンターや半導体など先端工場向けのソリューション データセンターや半導体など先端工場向けのソリューション[クリックで拡大]

水技術とAIを融合、独自の「WATER AI」戦略で差別化

 2026年8月12〜14日に東京ビッグサイトで開催された「下水道展'26東京」でも、固形物をポンプで圧送する前に細かく破砕するカッティング機構を搭載した小型排水圧送ユニット「Wilo-DrainLift SANI CUT」などの住居や商業施設向けソリューションと並んで、データセンターや半導体など先端工場向けソリューションを展示。IECの最高クラスの効率であるIE5のモーターを搭載した産業/商業施設向けの高効率電子制御インラインポンプ「Wilo-Stratos GIGA2.0-I」や、カチオン電着塗装で全鋳造部品を長寿命化したスタンダードポンプ「Wilo-Atmos GIGA-B」などを紹介した。

「ウィロには多彩なポンプのラインアップがあり、顧客に合ったソリューションを提供できる。業界内でもいち早くインバーター機能の内蔵やPM(永久磁石)モーターの採用に取り組んだ。また、Wiloはグループ戦略として『Pioneering WATER AI for You』を掲げ、これまで培った水技術の専門知識とAI(人工知能)の可能性の融合を目指している」(花田氏)

3回目の出展となった「下水道展'26東京」のブース 3回目の出展となった「下水道展'26東京」のブース[クリックで拡大]

 「Pioneering WATER AI for You」は3つの柱で取り組む。製品、システムおよびサービスにAIを直接組み込み、自律的に最適化を行うソリューションを創出する「We embed AI.」、原材料の抽出から先端半導体工場、データセンターまでAIバリューチェーン全体を支えるインテリジェントな水技術を開発する「We enable AI.」、研究開発から製造、物流、そしてカスタマーサービスに至るまで、企業全体でAIを展開する「We embrace AI.」の3つだ。

「他のポンプメーカーに比べ、AIを使った自己学習による最適化などに積極的に取り組んでいる。インテリジェントなポンプとAIを組み合わせて、データセンター市場を開拓したい」(花田氏)

 花田氏は欧州系ポンプメーカーの日本法人で約15年の勤務経験があり、日本の市場環境は熟知している。今後はまず日本での人材採用と販売代理店網の構築を進め、市場開拓に取り組む。

Wilo Japanの花田雄介氏 Wilo Japanの花田雄介氏

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