ローバンドの通信帯にはキャパシティーの限界があるため、スループットを出しやすい中帯域の通信方式である「ミッドバンド5G」に注目が集まっている。エリクソン・ジャパン チーフ・テクノロジー・オフィサー(CTO) 工学博士の鹿島毅氏は「ミッドバンドの5G SAを提供する中で、サービスの差別化によって収益化が進むという流れを考えると、ミッドバンドのカバレッジをどこまで提供できるのかが大事になってくる」と強調する。
そのため、ローバンドとミッドバンドの通信帯を組み合わせて、1つの通信回線として利用する「キャリアアグリゲーション」が重要となる。現在、グローバルのミッドバンド5Gカバレッジは55%、中国を除くと45%にとどまっており、地域によって大きな差が生まれている。
世界のFWA接続数は今後大きく伸びると予測されており、2025年の1億8500万件から2031年には3億5000万件へと成長するといわれている。2026年4月時点では5G上でサービスを提供するFWA事業者は71%に到達しており、過去4年間で最大の年間増加率となっている。特に光ファイバー網の敷設が及ばない地域(米国やインド)において、FWAは高速ブロードバンドを提供する重要なライフラインになる。
FWAで普及している料金プランは、固定回線のように通信速度別で課金するプランが主流となっており、世界のFWA事業者の57%がこのプランを提供している。また、ミッドバンド5Gの人口カバー率が高い地域ほど、速度ベースのFWAサービスで収益を得ている事業者が多いという相関関係も確認されている。
世界55社の主要通信業者のデータに基づくと、55社のうちの43社においてアップリンクの増加率が、ダウンリンクの増加率を上回っているという。また、55社のうち17社では、ダウンリンクの伸びに対して1.5倍以上のスピードでアップリンクが伸びていた。
この要因としては生成AI(人工知能)が普及したことが考えられるという。例えば、調べ物をする際に生成AIに画像や映像を読み込ませて確認をしたり、PCで動作するAIエージェントによる自動のデータ送信処理が発生したりといった行動がアップリンク増加要因として挙げられる。2031年のアップリンクトラフィックは控えめに見積もっても2025年の2倍に、大幅に考えると2025年の5倍に増加すると予測している。
従来のネットワークはダウンリンクの通信パフォーマンスにフォーカスしてサービスを提供していたため、今後のアップリンク増加に技術的に対応することが難しい。そのため、5G SA方式によるアップリンク最適化や、キャリアアグリゲーションにおいてユーザーの端末と基地局との接続性を担保するプライマリセル(PCell)の動的選択など、アップリンクパフォーマンスの改善が可能な機能開発が進んでいる。
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