先進国ではどの国も製造業の労働者が減少していて、「製造業離れ」が進んでいるといわれています。もしかしたら製造業の付加価値が増えていないのは、日本だけの特徴ではないかもしれません。
そこで、各国の製造業の付加価値がどのように変化してきたのかについても、確認してみます。図2は各国の製造業の付加価値が、基準年(1997年)に対してどれだけ増えたのかという伸び率を指数として表現したグラフです。
日本の製造業は前述した通り停滞が続いていて、2023年では1997年の96%と目減りしている状況です。一方で、「製造業離れが進んでいる」といわれていた他のG7諸国では、ドイツで2倍、米国で1.8倍、英国で1.6倍、フランスで1.5倍といずれも大きく拡大しています。
これを見ると「製造業離れ」といわれている各国でも製造業の付加価値は増え続けているにもかかわらず、日本だけが横ばいの状況が続いている事実が見えてきます。
同様に投資についても指数化して確認してみましょう。図3は1997年を基準とした場合の総固定資本形成(投資)の各国推移となります。
各国製造業の投資(総固定資本形成)について指数として見てみると、日本は横ばいが続きますが、他国は基本的に増加傾向です。英国とカナダは停滞する期間もありましたが、2010年代以降は大きく拡大しています。他国では付加価値と同様に投資も増えてきたわけです。
このように、他国では投資と付加価値の拡大が連動しているのに対して、日本ではいずれも停滞が続いてきたことが読み取れますね。
ここで多くの方は、日本では投資が増えないから付加価値も増えないのではないかと感じるかもしれません。確かにそういった面もあると思いますが、状況はもう少し複雑で深刻なようです。
そこで、次に各国の製造業の投資について対付加価値比の推移を可視化してみましょう。図4は、各国の製造業の総固定資本形成(投資)対付加価値比の推移、つまり、生み出した付加価値に対してどれだけの比率を投資に回しているかを示したものです。
このグラフを見ても分かる通り、各国製造業の投資対付加価値比を計算すると、日本は突出して高い水準を継続していることが確認できます。
これはどういうことかと言えば、日本は稼ぎである付加価値に対して、投資に割り当てる金額が他国に比べてはるかに大きいことを意味しています。日本の製造業の付加価値が増えてこなかったことを踏まえると、他国よりも相対的に多くの投資をしてきたのに稼ぎが増えていないということを示しているということです。
他国は大体15〜25%で推移しているので、日本よりも投資の効率が良いといえそうです。投資と連動して付加価値も増えているので、対付加価値比も一定に保たれているという関係性になっています。
日本の製造業の投資が多いということを別の観点から確認してみましょう。図5は、労働者1人当たりの投資金額をドル換算値によって国際比較したものです。総固定資本形成を労働者数で割り、為替レートでドル換算すると、労働者1人当たりの投資金額の国際比較ができます。
日本の労働者1人当たりの総固定資本形成は、他国と比べれば非常に高い水準で推移してきました。バブル期から相対的に高い投資水準が続いてきたわけです。近年では米国に抜かれているものの、他の主要先進国を上回っています。こうしてみると、日本の製造業の現状は、投資の割に価値を生み出せていない非常に効率の悪い産業構造になっているといえるかもしれません。
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