ホンダは電動パワーユニット「eGX」の高出力モデル3機種を2026年秋より供給する。パワープロダクツ事業の現在地と開発背景を説明した。
ホンダは2026年6月15日、電動パワーユニット「eGX(イージーエックス)」シリーズの高出力新モデル(GXE4.0D、GXE6.0D、GXE9.0D)を追加し、2026年秋より供給を開始すると発表した。本製品は、「第8回 国際 建設・測量展(CSPI 2026)」(6月17〜20日、幕張メッセ)にて世界初公開する。これに関連し、同社担当者がパワープロダクツ事業の最新状況について説明した。
ホンダのパワープロダクツ事業は、四輪車事業や二輪車事業と並び、同社のエンジン技術を活用しパワーユニットなど動力製品を展開する事業だ。同社全体の事業規模において約2%を占めており、年間約359万台を販売している。
漁業や建築現場などの動力を担う「パワーユニット事業」、芝刈り機や除雪機、発電機、非常用電源などを扱う「完成機事業」、漁船やレジャーボートの動力を提供する「マリン事業」の主に3領域だ。パワーユニットの販売が全体の7割を占めており、グローバルでの販売台数の内訳は、北米が93万台、欧州が71万台、中国が65万台、日本国内が30万台。生産体制はパワーユニットをタイ、中国、インドの3拠点で集中生産し、その他日本国内の熊本を含め、製品が求められる各需要国で生産する体制を敷いている。
パワーユニットの外部環境においては、グローバルで二極化している。ホンダ広報部の担当者は、「先進国を中心とした電動化などを見据えた環境規制強化の動きが一部で鈍化していることから、化石燃料を使用するICE(内燃機関)の需要が依然として継続している」と説明した。
ショベルカーや高圧洗浄機のように高い出力が求められる建設機械および産業機械の分野においては、従来の電動パワーユニットでは出力が不足するという技術的な課題があった。そのため、高出力帯の作業機では引き続きガソリンエンジンやディーゼルエンジンに頼らざるを得ないのが実情であるという。
一方で、住宅地などで使用される家庭用の芝刈り機といったガーデン製品では、電動化の需要が高まっている。ホンダは2021年、最大出力1.8kWの電動パワーユニットである従来モデル「eGX」を発売した。ランマーなど比較的小型の作業機向けとして採用され、換気が困難な場所での低環境負荷や、夜間工事における低騒音といった電動ならではの強みが現場で評価されてきた。ホンダは2050年のカーボンニュートラル実現を見据え、ICE事業で得た利益を電動化技術へ投資し、ラインアップを拡充していく戦略を描いている。今回の高出力モデルの開発も、ロードマップに沿って進めてきた。
こうした高出力化への要請と電動化の課題に応えるべく、ホンダはeGXシリーズに新たに「GXE4.0D」「GXE6.0D」「GXE9.0D」の3機種を追加した。これまで電動化の壁となっていた出力不足を解消するため、3機種はいずれも、ホンダの電動二輪車で用いられているモーター部品や技術を活用。これにより、最大出力はそれぞれ3.7kW、6.0kW、8.7kWを実現し、これまで難しかった高出力帯の建設機械や産業機械への適用を可能にした。
また、作業現場で懸念される連続稼働の問題に対しては、電源として交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック イー)」を採用することで対応した。これは「BENLY e:」や「EM1 e:」といった同社の電動モビリティと共通の規格型バッテリーである。あらかじめ充電したバッテリーと交換する方式をとることで、充電に伴う待機時間を省き、現場のダウンタイム低減と作業効率の維持に寄与する。
さらに、新モデルではフランジ取り付け部およびシャフトの寸法を既存の「GX200」と同一にした。これにより、OEMメーカーは既存のエンジンから電動への移行をスムーズに行える他、モーター、バッテリーボックス、インタフェースユニットをそれぞれ分離した構成とすることで、メーカー側の自由な完成機設計を後押しする仕様とした。
今回の新モデルの供給に先立ち、国内の建設機械メーカーへ先行して市場導入機を提供してきた。実際の作業現場での使用を通じて、建設機械に求められる性能や耐久性、使い勝手といったハードな要求をクリアし、グローバル向けの量産モデルとして2026年秋より供給を開始する。
ホンダは高出力の電動パワーユニットが選択肢に加わったことで、作業機メーカーの電動化に向けた動きをさらに加速していく方針だ、現場の作業効率を維持しながら、世界の建設/産業分野における環境負荷への貢献を目指す。
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