「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」に出展した600を超える企業/団体の展示の中から、カーエレクトロニクス関連を中心に、新しいソリューションや新しいテクノロジーをピックアップしてお届けする。
自動車技術の最新トレンドが一堂に会する「人とくるまのテクノロジー展 2026 YOKOHAMA」(主催:自動車技術会)が2026年5月27〜29日にパシフィコ横浜で開催された。前回をわずかに上回る延べ8万493人が来場し、電子化と電動化が進む自動車産業への関心の高さを窺わせた。
600を超える企業/団体の展示の中から、カーエレクトロニクス関連を中心に、新しいソリューションや新しいテクノロジーをピックアップしてお届けする。
住友電気工業(住友電工)は「未来のたね」コーナーで、細径の圧電センサーワイヤ「Filasense」を展示した。エナメル線のような見た目で、縫製糸としても使えるように、直径0.13mmと極めて細い線径を実現したのが特徴である。
内部電極、圧電層、外部電極および外皮で構成されていて、内部電極と外部電極の電位差から圧電層が受けているひずみ(引っ張りや圧縮)を検知する仕組みだ。両手で強く引っ張っても切れないほどの強度を持っていて伸張性はない。
具体的なアプリケーションは決まっていないそうだが、説明員によれば、例えばハンドルの縫い糸に使うことで、自動運転において運転者がハンドルに手を添えているかどうかを検知したり、シート生地に縫い込んで着座を検知したりするような応用が考えられるとのことであった。車載以外では、医療や介護における寝返りの検知や、構造物や機械部品の健全性モニタリングなどが考えられるという。
今後は信頼性や耐久性を検証しながら、カメラでは検知が難しいような応用を探っていく考えだ。
同社は同じく未来のたねコーナーで、ダイヤNV(窒素−空孔中心)量子センサーの試作システムも展示した。ダイヤモンドには不純物として窒素原子(Nitrogen)を混入させるとその隣に空孔(Vacancy)が形成される性質があり、両者のペアはNVセンターと呼ばれる。このNVセンターに存在する電子スピンは周囲の磁場などに極めて敏感で、レーザーやマイクロ波を使って読み出すことで高感度なセンサーを実現できる。
住友電工のダイヤNV量子センサーのプロトタイプ。円形のカバーの下に合成ダイヤモンドが置かれている。写真内左奥はレーザーとマイクロ波の発振回路および入力フロントエンドのユニット。数十cmほど離れたところから小さい永久磁石を動かしてみたが、磁界の変化がしっかりと検知されていた[クリックで拡大]企業や大学が低コストで使いやすいダイヤNV量子装置の研究開発を進めている中、大型合成ダイヤモンド単結晶を世界で初めて(同社調べ)工業化した住友電工は、この合成ダイヤの技術を利用してダイヤNV量子装置の研究に取り組んでいる。
地磁気の微細な変化も検出できるため、ナビゲーションシステムにおける高精度な自己位置推定や姿勢制御への応用の他、EV(電気自動車)のバッテリーやモータに流れる電流の非接触計測などの応用を想定しながら、実用化を目指していく。
車載アンテナやスプリングコネクターなどを手掛けるヨコオは、2025年6月に発表した透過率80%以上の透明アンテナを展示した。なお、同社はこれまでは人とくるまのテクノロジー展の名古屋会場にのみ出展していて、横浜会場にブースを構えたのは今回が初めてである。
ヨコオが開発した扇形の透明アンテナ。画像処理によって強調しているが、実際は目視では存在がほとんど分からないほど透明度が高い。サイズは108×70mm程度である。アンテナ下部に見える黒い小さい箱はトランスミッタとの接続部[クリックで拡大]3μm以下の極細金属メッシュを使用しているため、肉眼ではほぼ透明であり、ガラス窓への貼り付けなど新たな用途を提案する。周波数帯域は617M〜7500MHzで、4G、5GおよびWi-Fi 6/6E/7に対応する。
サンプルは既に提供中で、意匠を邪魔しないため展示会などでの関心も高いという。車載アプリケーションに限らず、例えば自動販売機の商品窓に貼り付けて欠品や故障をLTE回線を通じてセンターに通知するようなIoT(モノのインターネット)応用にも提案していきたいとの説明であった。
建物の壁や柱にも設置できるペロブスカイト太陽電池との組み合わせにも可能性がありそうだ。
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