感圧紙の「赤」を見ちゃダメ RGB値で加圧力を数値化する方法冴えない機械の救いかた(5)(3/5 ページ)

» 2026年05月25日 08時00分 公開

感圧紙の色測定

 ここから、自身で数値化する際の注意点を説明します。

 まず、色見本と感圧紙の関係です。色見本は、既に紙に印刷されているものか、ダウンロードした色見本データをプリンタで出力したものを使う感じでしょうか。図10に、筆者が想像したスキャナーの測定原理を示します(レンズがありませんね。省略しました)。RGB値は、カラーフィルターを通過した光の強度となります。

スキャナーの測定原理 図10 スキャナーの測定原理[クリックで拡大]

 光源が発する光のスペクトルはフラットな特性ではなく、ランプの色温度で決まる特性です。スキャナーは、RGB値が全て255のときに、うまく白色になるよう調整されたものです。

 必ず守らなければならない注意点は以下です。

色見本をスキャンしたスキャナーと、感圧紙をスキャンしたスキャナーは同一であること!

 つまり、以下のようなやり方をすると、正しい数値化ができないということです。理由は、スキャナーの種類が違えば、光源のスペクトルやカラーフィルターの透過率も異なるからです。

  1. 色見本をスキャンしたスキャナーと、感圧紙をスキャンしたスキャナーが異なる
  2. 感圧紙をスマホで撮影してPCに取り込む(1.と似たような状況だが)
  3. PCに表示された色見本を画面キャプチャーしてRGB値を取得し、感圧紙の方はスキャナーで読み取る

 スキャナーが異なるくらいならまだ許せますが、スマホで撮影すると事態は深刻です。スマホで撮影したときの光源は何だったでしょうか。正午近くの太陽光、蛍光灯、LED光源など、いろいろ考えられます。

 ここでは、LED光源の場合を考えましょう。図11に白色LEDのスペクトルを示しておきます。このような光源で測定したRGB値と、正午近くの太陽光で測定したRGB値とでは、全く別物であることが推測されます。

白色LEDのスペクトル 図11 白色LEDのスペクトル(筆者が「だいたいこんな感じ」と思って描いた図)[クリックで拡大]

 圧力値を正しく測定したいのであれば、次の点も考慮しなければなりません。

色見本のインクと感圧紙で発色しているインクは別物であり、さらに光源も異なると、発色している赤色(あるいはピンク色)のRGB値が一致する保証はない!

 正確な測定をするには、自身で色見本を作る必要があります。例えば、図12の方法で色見本を作ります。これなら、色見本の赤色(ないしはピンク色)を発色しているインクは、感圧紙と同じになります。

色見本の作成 図12 色見本の作成[クリックで拡大]

なぜ色見本にこだわったのか

 感圧紙メーカーから、圧力値などを数値化するスマホアプリを購入すれば済む話です。それなのに、どうして色の測定にこだわっているのか――。これは、いずれお話しする「計測器メーカーは助けてくれない」につながる内容なのです。

 開発現場の実験室では、計測行為がほとんどです。モノづくりの現場でも計測は行われます。メカトロ機器は、センサーの測定値に従ってコンピュータが次のアクションを決定します。つまり、やっていることの多くは計測行為だということです。

 不正確な実験結果、不良品の生産、メカトロ機器の不具合などの解決では、「正しい計測行為がされているか」を調べることが有効な場合がよくあります。ここで、計測器メーカーが親切に対応してくれたらいいのですが、「当社の規定に従って出荷検査されており、この測定器は不良品ではありません」と、あしらわれることも珍しくありません。

 このように、ときには自力で問題を解決しなければなりません。測定値が正しいものかどうかを調べるには、以下のことが重要だと考えております。

  • 異なる測定手段を用意しておき、測定結果を突き合わせる
  • 答えが分かっている被測定物を作っておく
  • 測定器の測定原理を知る

 異なる測定手段を用意することがポイントで、この作業を進めているうちに、問題の原因が見つかることが多いのです。

 というわけで、色見本を例にして、「正しい測定行為」ができていたのかを常に意識しておくことの重要性を説明した次第です。

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