都市や日時によって異なる渋滞の背景を詳細に分析するため、トムトムは2025年12月に新ツール「Area Analytics」の提供を開始した。Area Analyticsでは、ユーザーが任意の都市を設定し、日、月、年単位で交通状況を分析できる。さらに、特定の時間や曜日、高速道路か一般道かといった細かい条件設定も可能である。条件に応じた混雑度は3Dマップ上に視覚的に表示されるため、道路ごとの具体的な状況を直感的に把握できる他、分析結果のデータダウンロードにも対応している。
こうしたトラフィックデータは、複数のプローブデータを組み合わせて生成している。具体的なデータの取得元としては、提携する自動車メーカーの車載機器から得られる情報や、一般ユーザーが利用するスマートフォンのナビゲーションアプリの位置情報などだ。トムトム日本 プロジェクトマネージャーの長尾淳史氏は、「これらの膨大なデータは匿名化して統合、分析している。多様なチャネルのデータを組わせることで、実態に即した交通状況の可視化を実現している」と語った。
交通データの分析は、単なる渋滞情報の提示だけでなく、社会インフラの課題を解決するための情報源としての活用が進んでいる。
具体的な利用例の1つが、観光地や新たな施設周辺における渋滞緩和の取り組みである。沖縄県に開業したテーマパーク「ジャングリア」の周辺では、トムトムの走行データと日本道路交通情報センター(JARTIC)の情報を連携させることで、車両移動の効率化を図っている。交通需要が急増する夏休み期間中は24時間体制で5分ごとにデータを更新し、混雑の分散や交通誘導に役立てているという。
また、位置情報解析ベンチャーのLocationMindでは、災害時の迅速な状況把握と復旧支援にデータを応用している。2024年1月1日に発災した能登半島地震前後の交通状況について、トムトムの過去データ分析機能「Traffic Stats」を活用し、平常時の交通状況と地震直後のデータを比較検証した。この分析結果を、通行可能な道路の素早い特定や復旧方針の検討、被災地へ支援物資を届けるための輸送ルート策定に活用していくという。
今後の展開についてトムトム日本シニアアカウントマネージャーの石橋紀彰氏は、「物流業界の2024年問題に対応する大型車両向けのルート最適化や、前方の渋滞末尾を検知することで、追突事故を未然に防ぐ自動運転や高度安全運転支援(ADAS)への応用を進めていく」と方針を語った。
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