フィロミン氏は、ボディーインホワイト(BIW、塗装前の自動車の骨格部品)の溶接ステーションの制御プログラム構築デモを通して、Eigen Engineering Agentが実際のエンジニアリング作業をどのように自動化するのかを示した。
デモでは、材料の投入からクランプによる固定、溶接の実行、クランプの解除、そして次工程への準備完了の通知までを含む一連の工程を制御するSCLファンクションブロックの生成について、自然言語で指示するだけで構築できる様子が示された。Eigen Engineering Agentはこの指示を受け取ると、タスクを細かく分解し、プロジェクト全体の文脈や関連ドキュメントを参照しながら最適な実装方法を選択した。

自然言語で制御プログラムの生成を指示すると、Eigen Engineering Agentはタスクを細かく分解し、プロジェクト全体の文脈や関連ドキュメントを参照しながら最適な実装方法を選択する[クリックで拡大]処理は複数のツールを横断しながら反復的に進められ、最終的には溶接サイクル全体を網羅した完全なファンクションブロックが生成される。数百行に及ぶコードは自動的に検証され、不具合も修正された状態で出力されるため、エンジニアはすぐに利用できるという。
さらに、品質管理機能の追加も同様に行われた。溶接電流を監視し、異常が発生した場合に検知する仕組みを指示すると、既存コードを解析した上で必要なロジックが自動的に組み込まれる。従来は複数工程を要したこうした変更作業も、短時間で完了することが確認された。
また、変数名やスイッチ名の変更といった煩雑な作業も、一度の指示でシステム全体に反映される。これまで個別ファイルを横断して修正する必要があった工程が不要となり、作業効率の向上につながるとしている。
そして、デモの最後には、作業内容のサマリーと変更履歴の自動生成も行われた。これによって、チームメンバーは翌日すぐに作業を再開できる状態が整えられ、エンジニアリングプロセス全体の連続性と可視性が大きく向上するという。
同社ブースでは、パイロット導入企業の1社である中国の新エネルギー車用部品生産ラインなどを手掛けるCASMTによる、電気機械式ブレーキ(EMB)の組み立て/テストラインのデモ機も展示していた。来場者も実際にEigen Engineering Agentでプログラムが可能だ。なおミラーボールがぶら下がっているのは、Eigen Engineering Agentが複雑な光の反射条件の変化にも対応して動作することを示すためだという[クリックで拡大]フィロミン氏は、今後のEigen Engineering Agentの機能拡張にも言及した。現時点でも提案にとどまらず、実際のエンジニアリング業務を実行する能力を示しているが、「今後は適用範囲をさらに広げ、エンジニアリングのライフサイクル全体をより広範にカバーする方向で進化させる」と展望する。この狙いは、差別化につながらない反復的かつ煩雑な作業をAIに委ねることで、エンジニアがより高度で付加価値の高い業務に集中できる環境を実現することだとしている。
一方で同氏は、現在の基盤モデルの限界にも触れた。既存のAIは「起こり得ること」を予測する能力には優れているものの、「実際に何が可能か」という現実世界の制約を十分に理解しているわけではないと指摘する。シーメンスではこうした課題の克服に向けた取り組みも進めているという。物理世界を理解するAIの実現に向けた次のステップについて、同氏は「近いうちにその成果を示したい」と意欲を示した。
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