分子レベルでリサイクル樹脂の構造を可視化する解析サービスを開始研究開発の最前線

東レリサーチセンターは、プラスチック材料の分子量と分子構造を高精度に評価できるマルチ検出器ゲル浸透クロマトグラフ装置を導入し、高分子構造解析サービスを開始した。

» 2026年04月10日 11時00分 公開
[MONOist]

 東レリサーチセンターは2026年3月24日、プラスチック材料の分子量と分子構造を高精度に評価できるマルチ検出器ゲル浸透クロマトグラフ装置「MD-GPC」を導入し、高分子構造解析サービスを開始したと発表した。

 MD-GPCは、複数の検出器を組み合わせて、分子量分布(分子の長さ)と分岐度(枝分かれ構造)を定量評価する。同装置を用いた高分子構造解析サービスでは、プラスチック材料の分子量や分岐構造を解析し、リサイクル材料に特有の強度と耐久性、加工性のばらつき、劣化状態を分子レベルで把握できる。特に、繊維やフィルム、成形材料として使用されるポリエステル、ポリアミドなどの評価に有効だ。

 使用済みプラスチックは、熱や水分、紫外線による劣化、リサイクル工程での加熱、再溶融などにより、安定的に新品材料と同等の性能を得ることが難しい。外観では判断できない分子量や分岐構造の変化は、溶融粘度や成形品の強度に大きな影響を及ぼす。

 同サービスにより分子量と分岐構造の両方を正確に評価することで、リサイクル材料を使用した場合でも、安定した加工性と製品品質を両立する材料設計、製品開発が可能になる。一例として、熱処理や鎖延長剤添加がポリエステルの分子構造に及ぼす影響を評価した。その結果、熱処理により平均分子量が低下し、ポリエステルの分解が発生していることが示唆された。鎖延長剤の添加では、分子量が新品以上に増加していた。また、分岐度は分子量に依存せず、一定であることが分かった。

キャプション 熱処理前後のポリエステルの平均分子量(左)と鎖延長剤を添加して加熱処理したポリエステルの分岐度と分子量の関係(右) 出所:東レリサーチセンター

 同サービスは、リサイクル原料を用いた包装材料、繊維や不織布などのサステナブル素材、自動車や家電用途の成形材料、バイオマスや再生材料を活用した高付加価値材料の研究開発での活用を見込む。分子量と分岐度の定量的な把握により、リサイクル材料の設計、プロセスの最適化、量産時の品質安定化などに寄与する。

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