ある一点では、応力はさまざまな方向に作用しています。その中で、最も強く引っ張っている方向の応力が最大主応力です。
割れや亀裂は、基本的に引張側から始まります。特に、
といった脆性材料では、最大主応力が重要な指標になります。
圧縮方向よりも引張側から破壊が始まる理由は、材料内部に存在する微小な欠陥やき裂が、引張応力によって開くためです。き裂が開くと先端に応力が集中し、繰り返し荷重によって少しずつ進展します。この進展が蓄積され、最終的に破断に至ります。一方、圧縮応力ではき裂は閉じる方向に働くため、進展は生じにくくなります。そのためCAE評価では、最大主応力に着目します。
最大主応力が最大の引張応力であるのに対し、最も強く押している方向の応力が最小主応力です。通常はマイナスの値で示されます。
圧縮は一見安全に見えますが、構造設計では重大な問題を引き起こす場合があります。代表的なのが座屈です。細長い部材に圧縮がかかると、材料強度に達していなくても不安定変形を起こします。また接触面では、局所的な圧縮応力によって圧壊が生じることもあります。
したがって、
などでは、最小主応力を確認する必要があります。
実際の部品内部では、
が同時に存在します。これらを「材料が降伏するか」という観点で1つにまとめた値が、ミーゼス応力(相当応力)です。
鉄やアルミなどの延性材料では、降伏応力との比較はミーゼス応力で行うのが基本です。ミーゼス応力は方向を持たない大きさだけの値、いわゆるスカラ値です。この値によって、降伏するかどうかを評価します。
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