コニカミノルタはペロブスカイト太陽電池関連技術でGXを推進 その技術戦略とは脱炭素(3/3 ページ)

» 2026年01月30日 07時30分 公開
[坪田澪樹MONOist]
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ペロブスカイト太陽電池関連技術で脱炭素/GXに貢献

 コニカミノルタは成長基盤を確立するため「成長の芽」をキーワードとして技術を伸ばしてきた。同社はコア技術を軸として同社が持っている技術や製品、製造設備などのインフラも含め、生かせるアセットを活用しきることで中長期のニーズに沿った脱炭素やGX(グリーントランスフォーメーション)に貢献し、かつ大きな市場を目指せるテーマに集中して取り組んでいく方針だ。

 コニカミノルタ 常務執行役 技術管掌の江口俊哉氏は、「当社の強みであり創業から発展してきた「材料」と「計測」の分野は、脱炭素/GXにつながる可能性の高い技術がたくさんあり、15年ほど前からさまざまな取り組みを進めてきた。AI(人工知能)によってコア技術を高度に進化させることで、今まで実現できなかった機能を有する新素材の開発や、見えなかったものを見える化するセンシング技術の開発を通じ、GXに新たな価値を提供できると考えている」と述べる。

脱炭素/GXに貢献するコア技術をベースにした技術戦略[クリックして拡大] 出所:コニカミノルタ

 コニカミノルタはペロブスカイト発電層の形成工程効率化のために、製造装置メーカーからインクジェットヘッドをペロブスカイト層の塗布に使いたいというオーダーを受けているという。さらに、高い発電効率のペロブスカイト電池を安定して量産するには、均一でムラなく発電層を塗布することが肝になるが、これにハイパースペクトルイメージングの技術を活用することで、ペロブスカイト層の品質を高精度で即時に判定できる。これらの技術ソリューションについては、既に顧客候補による検証が始まっている。

 「コニカミノルタが持つ『バリアフィルム』『インクジェット』『検査技術』計3つの技術が、ペロブスカイト太陽電池普及における3つの課題である『発電効率』『耐久性』『製造コスト』の解決につながっており、これから市場展開を目指していきたいテーマとなっている」(江口氏)

コニカミノルタが注力している3つの技術[クリックして拡大] 出所:コニカミノルタ

 ペロブスカイト発電層の形成工程では、現在「ダイコート」というヘラで伸ばすような塗布方式が多く採用されているが、この場合は発電層を全面塗布した後に発電セルごとカットする工程が必要になる。このカットはレーザーによってパターニングするが、工程の時間が長くなってしまうため生産効率を低下させる。その上に、多くのエネルギーも消費するため、CO2排出などの環境負荷も大きくなる。

 この課題に対し、インクジェットを用いて発電層を直接パターニングすることで、レーザーカット工程が省かれ、生産効率と材料使用効率の向上、環境負荷低減の実現が期待できる。現在は既に複数の製造装置メーカーにサンプルを提供し、現在生産工程への適用に向けて実験評価を実施している。

インクジェット方式によるペロブスカイト層塗布のイメージ[クリックして拡大] 出所:コニカミノルタ

 ペロブスカイト太陽電池製造工程の効率化のためには、発電層の作成工程でリアルタイムに品質検査を行うことが望ましいが、これまでは塗布した膜全面を漏れなく検査する方法というものが確立されていなかった。この課題に対して、同社のハイパースペクトルイメージングの技術を用いることで、ペロブスカイト太陽電池の製造において、ペロブスカイト発電層の膜質や外観を計測して即時に品質を判断でき、高効率かつ高精度なインライン検査が可能となる。

インライン検査のイメージ[クリックして拡大] 出所:コニカミノルタ

 バリアフィルムについては、以前に単体の耐久性試験結果について発表したが、それ以降もペロブスカイト太陽電池のスタートアップであるエネコートテクノロジーズにおいて、次の段階の評価として太陽電池モジュールとしての加速耐久試験も実施している。現在も評価継続中であり、現時点では2000時間の耐久性を確認している。江口氏は「この2000時間を超えたことで屋外使用が可能であるということが確認され、大きな進展が得られたと判断していただいている」と強調する。

バリアフィルム開発の進展について[クリックして拡大] 出所:コニカミノルタ

 また、車両搭載の実用化に向けて物流業界の商用EV(電気自動車)車両へのペロブスカイト太陽電池搭載については、ペロブスカイト太陽電池の軽量である特徴を生かし、従来は困難であった場所への設置ニーズが高まっている。その中でもCO2排出量の削減が求められている物流業界においては、ペロブスカイト太陽電池の活用は環境負荷低減だけでなく、EV車両の充電時間削減による業務効率化にもつながる技術として大いに期待されている。

 そこで、この物流業界の保冷機能を持つEV車両にペロブスカイト太陽電池を設置することで、保冷機材への電力供給を行うPoC(概念実証)実施を検討している。これはペロブスカイト太陽電池の商用EV車両搭載への実用化を加速するために、とても重要な意味を持つ実証実験となると期待が集まっている。

ペロブスカイト太陽電池の物流業界活用のイメージ[クリックして拡大] 出所:コニカミノルタ

 コニカミノルタのペロブスカイト太陽電池に関する今後の動向については、まずバリアフィルムに今後も実証顧客へのサンプル提供と実証を進め、2030年をめどに同社の既存生産設備を活用して量産体制を構築し、その後は市場の拡大状況に応じた生産体制の拡大を順次進めていく。インクジェットヘッドとハイパースペクトルイメージング技術は、数年以内にはペロブスカイト太陽電池メーカーの製造工程への導入してもらう取り組みを進めていく。これらの事業はペロブスカイト太陽電池市場の成長に合わせて、適切な投資しながら中長期での事業拡大を目指していく。

ペロブスカイト太陽電池関連技術の今後の動向[クリックして拡大] 出所:コニカミノルタ

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