本連載では、「デジタルツイン×産業メタバースの衝撃」をタイトルとして、拙著の内容に触れながら、デジタルツインとの融合で実装が進む、産業分野におけるメタバースの構造変化を解説していく。第9回となる今回は、フィジカルAIへの期待とヒューマノイドロボットのインパクトを解説する。
本連載では、「デジタルツインとの融合で実装が進む産業メタバース」をタイトルに連載として、拙著『メタ産業革命〜メタバース×デジタルツインがビジネスを変える〜』(日経BP)と『「生成DX〜生成AIが生んだ新たなビジネスモデル〜」』(SBクリエイティブ)の内容に触れながら、本連載向けに新たに追加する内容を含めて、デジタルツインとの融合により実装が進む産業分野におけるメタバースの構造変化について解説する。
AI(人工知能)の進化は目まぐるしいスピードで進んでいる。画像認識などの「Perception AI(認識AI)」、文章や画像を生成する「Generative AI(生成AI)」、そして自律的なエージェント機能を持つ「Agentic AI(AIエージェント)」を経て、重要性が増しているのが「フィジカルAI(Physical AI)」だ。
フィジカルAIとは、ロボットや自動運転車などが現実世界(物理世界)で活動するために必要な知見を学習し、物理法則を理解した上で複雑なシナリオを生成、実行するAIを指す。例えば、NVIDIAが「世界基盤モデル」の構築を推進し、テスラがヒューマノイドロボットの量産を掲げるなど、「デジタル空間の知能」が「身体性」を持ち、物理世界を動かし始めるパラダイムシフトが起きつつある。
この変革は、従来の産業用ロボットの在り方も根本から覆そうとしている。特定の工程に特化したハードウェアから、人間社会のインフラをそのまま活用できる「ヒューマノイド(ヒト型)」への移行が想定できるためだ。身体性を持つロボットが、あたかもスマートフォンのように、共通のハードウェアがアプリの更新によって多様なタスクをこなす未来が、すぐそこまで来ている。
本稿では、NVIDIAやテスラといったグローバルリーダーの戦略から、オープンソースで公開された高度なフィジカルAIエンジン「GENESIS」の衝撃、さらには川崎重工業や安川電機など「ロボット大国 日本」における取り組みを紹介する。フィジカルAIとヒューマノイドロボットが、製造や物流、各産業、生活をどう変えていくのか。その最前線を詳しく解説する。
フィジカルAI領域にいち早く注力し、この分野で先行するのがNVIDIAだ。NVIDIAはロボットや自動運転の学習環境生成プラットフォーム「Cosmos」を発表し、「世界基盤モデル(World Foundation Model)」の構築を推進している。これは、フィジカルAIが現実世界そのものを学習し、そこで起こり得る複雑なシナリオを効率的に生成するための基盤となる。
NVIDIAは、CES 2026でもフィジカルAIの代表的なアプリケーションである自動運転技術とヒューマノイド向けのオープンソースAIモデルを発表している。自動運転技術向けでは新たに「NVIDIA Alpamayo」を、ヒューマノイド向けでは新バージョンとなる「NVIDIA Cosmos Reason 2」と「NVIDIA Isaac GR00T N1.6」をHugging FaceやGitHubで公開するとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製造マネジメントの記事ランキング
コーナーリンク