フィジカルAIや「Embodied AI(身体性AI)」の開発において、最前線に位置するのが、カーネギーメロン大学が主導するプロジェクトから生まれた物理シミュレーションエンジン「GENESIS」である。
GENESISの特筆すべき点は、その参画機関の豪華さだ。カーネギーメロン大学を筆頭に、スタンフォード大学、コロンビア大学、MIT CSAIL(コンピュータ科学・人工知能研究所)、さらにはNVIDIAやMIT-IBM Watson AI Labなど、世界トップクラスの大学や研究機関、企業が名を連ねている(図10)。この技術における最大の衝撃は、これほど高度なプラットフォームが「オープンソース」として公開されている点にある。
これは、一部の巨大テック企業や先端研究所だけでなく、誰でも複雑なロボット動作を生成、検証できる時代の到来を意味する。テキストによる指示でロボットの動きやシミュレーション環境を生成できるGENESISは、ロボット開発のハードルを劇的に下げ、新たなイノベーションの土壌となるだろう。
GENESISは単なる物理演算ソフトではない。生成AI技術を取り入れ、現実世界の挙動を忠実に再現することを目指した統合プラットフォームである。その特徴は大きく以下の4点に集約される。
剛体だけでなく、流体や軟体など、幅広い材料や物理現象をシミュレート可能である。現実世界のあらゆる物理挙動を、高い忠実度で再現することを目指して設計されている。
研究者や開発者が容易に扱えるよう、インストールや操作性に配慮された、軽量かつ高速なロボットシミュレーションプラットフォームを提供する。これにより、複雑なロボット動作の試行錯誤が効率化される。
仮想環境でありながら、現実さながらの質感や照明を描画する「フォトリアリスティックレンダリング機能」を備えている。これにより、シミュレーション上での視覚的な検証が可能になるほか、AI学習用の高品質な画像データ生成にも寄与する。
ユーザーが自然言語(プロンプト)で記述した内容から、多様なデータを自動生成する。例えば、「台所のテーブル上を猿のキャラクターが走り回る」と指示すれば、そのシナリオに沿った動的な3Dシーン、動画、さらには音声データまで生成できるという。
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