ヌヴォトン テクノロジーは、波長379nmの紫外半導体レーザーの出力を同社従来品比で倍増となる1.0Wを達成した「高出力 1.0W 紫外(379nm)半導体レーザ」を開発した。主に、先端半導体パッケージ向けマスクレス露光装置の微細化や加工速度向上の用途に向ける。
ヌヴォトン テクノロジーは2026年1月16日、波長379nmの紫外レーザーの出力を同社従来品比で倍増となる1.0Wを達成した「高出力 1.0W 紫外(379nm)半導体レーザ」を開発したと発表した。直径9.0mmのCANパッケージであるTO-9で業界最高クラスの光出力を実現したとする。主に、インターポーザーなどの先端半導体パッケージ向けマスクレス露光装置の微細化や加工速度向上の用途に向ける。2026年3月から量産を開始する予定だ。
一般的に紫外半導体レーザーは、光電力変換効率(WPE)が低く、自己発熱が大きい上に、短波長光による素子劣化が起こりやすいことから、1.0Wを超える高出力での安定動作が困難だった。同社の紫外半導体レーザーの従来品も出力は0.5Wにとどまっていた。新製品は2つの工夫を取り入れることにより、従来比で倍増となる出力1.0Wを実現した。
工夫の1つが、光電力変換効率を高めるデバイス構造である。半導体レーザーの素子構造における発光層や閉じ込め層となるp型とn型のクラッド層の構造を最適化することで、投入する電力を効率良く光に変換できるようにした。また、発光を阻害する要因になる不純物のプロファイルを精密に制御し、光吸収による発熱も抑えられるようにした。
もう1つの工夫が、熱を効率よく逃がす高放熱パッケージ技術だ。TO-9のCANパッケージ材料を、鉄と銅の組み合わせから100%銅製に変更した。また、半導体レーザー素子を設置するサブマウントの材料も、従来のSiC(シリコンカーバイド)やAlN(窒化アルミニウム)からダイヤモンドに置き換えている。これら高放熱材料の採用によって熱抵抗を低減することで、素子の温度上昇を抑制し、1.0Wという高出力での安定動作を実現した。
半導体製造プロセスの微細化は物理的/経済的な限界に近づきつつある中、半導体のさらなる集積度を高めるための手法として注目を集めているのが、チップレットと呼ばれる半導体チップを横並びに実装したり、垂直方向に積層したりする先端半導体パッケージである。
これらのチップレットを接続するインターポーザーの配線形成に用いられているのが、水銀のスペクトル線であるi線(波長365nm)とフォトマスク(回路原板)を用いた露光装置だ。ただし、フォトマスクの設計/製造/管理のコストが高いこと、基板の反りやひずみへの補正が難しいこと、光源である水銀灯の環境負荷が大きいことが課題になっている。
そして、これらの課題解決につながる技術として期待されているのが設計データに基づいて配線パターンを直接描画するマスクレス露光装置だ。フォトマスクが不要で、基板の反りやひずみに合わせた露光が行え、光源が半導体レーザーなので水銀も使用しない。しかしこれまでは、微細化に対応可能な半導体レーザーの短波長化や、より高速に配線パターンの描画を行うための高出力化に課題があった。
今回の紫外半導体レーザーの新製品は、i線光源に近い379nmの短波長化と、1.0Wというワットクラスの高出力化を実現しており、先端半導体パッケージ向けマスクレス露光装置の課題の解決につながるものだ。
なお、ヌヴォトン テクノロジーは、水銀灯を代替する半導体レーザー製品のラインアップを拡充している。これまでに、436nmのg線に替わる420nmのインディゴ半導体レーザー、405nmのh線に替わる402nmの紫色半導体レーザーを1W以上のワットクラスで展開してきた。今回の新製品の投入により、365nmのi線に替わる379nmの紫外半導体レーザーでもワットクラスの製品をそろえたことになる。
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