旭化成の半導体材料成長戦略、AIサーバの進化を支える新素材とは製造マネジメントニュース(2/3 ページ)

» 2026年01月13日 06時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

パイメルの成長を加速するスマートラボ

 旭化成 専務執行役員 マテリアル領域担当 マテリアル領域長の山岸秀之氏は「マテリアル領域は、ポートフォリオ変革を推進し、持続的な利益成長を目指せる構造への転換を図っている。近年は、これまで収益をけん引してきたケミカル事業の利益が縮小している一方、それ以外の事業が着実に伸びている。2018年度には、ケミカル事業がマテリアル領域の約6割の営業利益を稼いでいたが、今では約1割となっている」と現状に触れた。

マテリアル領域の営業利益と営業利益の推移 マテリアル領域の営業利益と営業利益の推移[クリックで拡大] 出所:旭化成

 エレクトロニクス事業の2025年度の売上高は約1600億円になる見込みだという。同事業は電子材料事業と電子部品事業で構成されている。「売上高は現時点でやや電子材料事業の方が大きい」(山岸氏)。エレクトロニクス事業では現在、最先端/次世代向け電子製品のマーケットリーダーのニーズに応えるとともに、市場の需要を踏まえた製品の設計/開発により、業界でデファクトスタンダードとなる製品を創出し続けることを目指している。

エレクトロニクス事業の業績目標 エレクトロニクス事業の業績目標[クリックで拡大] 出所:旭化成

 電子材料事業では、半導体の微細化、高集積化、高速化を支えるパッケージ技術と実装プロセスの技術革新に対応する感光性材料を中心に展開していく考えだ。電子部品事業では、センサー技術、アナログ設計、ソフトウェア技術を組み合わせ、バリューチェーンおよび顧客提供価値に重点を置いたソリューションを提供する。「これらの取り組みにより、2030年にはエレクトロニクス事業で売上高3000億円を目指す」と山岸氏は語った。

 エレクトロニクス事業で特に注力する製品は、感光性絶縁材料「パイメル」、プリント配線板用ガラスクロス、電子部品だ。

 パイメルは、半導体素子の表面保護膜、バンプ用パッシベーション層、再配線用絶縁層として半導体メーカーで採用されている感光性樹脂材料で、特に「再配線層」が重要となる最先端ロジック半導体を中心に広く市場をカバーしている。

パイメルのターゲット市場と強み パイメルのターゲット市場と強み[クリックで拡大] 出所:旭化成

 山岸氏は「パイメルは最先端半導体パッケージの再配線層向けでトップシェアとなる。パイメル事業の強みは、最先端半導体顧客のトップサプライヤーのポジションにいることだ。最も早く大手顧客のニーズを聞き出し、感光性絶縁材料における将来の需要を先読みできる。パイメルの開発実績が評価され、TSMCから2024年、2025年と2年連続で『Excellent Performance Award』を受賞した」と説明した。

 最先端の半導体パッケージに対応するパイメルの研究開発力を強化するために、データ駆動型の研究インフラ「スマートラボ」の立ち上げを進めている。スマートラボは、多種原料の調合や高度化する評価項目に応じる他、複雑で手間と時間がかかる実験/評価を自動化し、実証スピードを従来比で4倍とする。さらに、シミュレーション技術を生かした未知の組成探索とデータ蓄積の加速により、マテリアルズインフォマティクスにおける組成探索の精度を高める。「これらの機能で高度化する顧客の要求に最短で対応する」(山岸氏)。

パイメルの成長戦略 パイメルの成長戦略[クリックで拡大] 出所:旭化成

 また、静岡県富士市でパイメルの新工場が2024年12月に完成し、稼働している。同工場の敷地内で、生産能力増強の設備投資も決定している。増強した設備は2028年度上期に商業運転開始予定で、パイメルの生産量は2024年度比で2030年に2倍以上となる予定だ。

 これらの取り組みにより、同社は、AI(人工知能)関連市場の需要を確実に取り込み、半導体材料市場の成長を見込んでいる。「エレクトロニクス事業では、2027年度の営業利益目標として300億円を掲げているが、AI市場の拡大もあるので、目標を超える成長を目指す」(山岸氏)。

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