NTNは、第3世代ハブベアリングの設計に利用している自動計算システム「ABICS」にAI技術を導入した。性能評価に伴う解析時間を従来の10分の1以下に短縮するとともに、要求仕様を満たす設計寸法の自動提案を可能にした。
NTNは2026年1月8日、第3世代ハブベアリングの設計に利用している自動計算システム「ABICS」に、AI(人工知能)技術を導入したと発表した。これにより、性能評価に伴う解析の高速化や、要求仕様を満たす設計寸法の自動提案が可能となった。設計工数の削減に加え、顧客の開発期間短縮にもつながるとしている。
自動車部品の設計では、より早く高品質な製品を開発するために、コンピュータ上で性能を検証するモデルベース開発(MBD)の導入が進んでいる。こうした流れの中で、同社は2022年に、第3世代ハブベアリングの設計業務を一括で行う自動計算システムとしてABICSを導入。設計工数を従来比で約80%削減し、顧客の開発期間短縮に貢献してきた。
一方で、第3世代ハブベアリングは、ベアリングとボルトなどの周辺部品が一体化した複雑形状であるため、設計内容が顧客の要求仕様を満たしているかを確認するFEM解析には高度な計算が求められる。さらに、要求仕様を満たしていない場合には、再設計後に再度FEM解析を行う必要があり、設計リードタイムの増大が課題となっていた。
こうした課題に対し、同社はABICSに機械学習技術を導入した。多数のデータから重要な変数を抽出するLasso回帰によるシミュレーションモデルと、効率よく最適解を探索するベイズ最適化を組み合わせることで、入力された設計寸法を基に、広範な設計条件に対する高精度な解析結果の予測と寸法提案を可能にした。
これにより、FEM解析の一部を従来の10分の1以下の時間で予測できる他、要求仕様を満たしていない場合には、適切な設計寸法の自動提案が可能となった。「軸受業界で、ベイズ最適化を用いてLasso回帰による機械学習技術を設計に導入したのは、NTNが世界初」(ニュースリリースより)だという。
同社は、今回導入したAI技術を活用し、2029年度までにABICSで全てのFEM解析を自動予測し、最適設計案を提示できる機能の実現を目指す。これにより、設計工数はABICS導入前と比べて約90%削減できる見込みである。
今後も同社はCAEやAIなどのデジタル技術を活用し、研究開発の効率化や高度化を推進するとともに、高機能/高品質な製品の実現につなげていく考えだ。併せて、これらの技術を扱えるデジタル人材の育成にも注力する方針を掲げている。
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