中央大学とサッポロビールは、唇に伝わるグラスの触覚がビールの味わいに影響することを発見した。成人48人の実験で、飲み口の厚いグラスでは甘味、薄いグラスでは苦味が強く感じられる傾向を確認した。
中央大学は2025年12月8日、サッポロビールと共同で、唇に伝わるグラスの触覚がビールの「味わい」に影響を及ぼすことを発見したと発表した。成人48人を対象とした実験の結果、飲み口の厚いグラスではビールの甘味が強く、薄いグラスでは苦味が強く感じられる傾向が明らかになった。
今回の研究では、約3mmと約1mmの厚みの異なる2種類のグラスに注いだ同じ種類のビールを、参加者が目隠しをした状態で飲み比べた。
その結果、多くの参加者が、甘味が強いビールとして厚いグラスに入ったビールを、苦味が強いビールとして薄いグラスに入ったビールを選択する傾向が見られた。参加者は目隠しをしていたため、視覚ではなく、唇に伝わるグラスの触覚が味覚評価に影響したと考えられる。
厚みの異なるグラスは重さも異なるため、後続の実験では重さの影響を統制したが、重さのみを変化させた場合は味覚評価に差はなかった。このことから、味覚誘導効果はグラスの重さではなく、厚みに起因するものであることが示された。
グラスの厚みによる味覚誘導効果は、「厚い―甘い」「薄い―苦い」という概念が心的に連合しており、それが感覚間で共有され、知覚に影響を及ぼすことを示唆している。
これまで、容器の色や形状、材質などの視覚情報や触覚情報が、そこから飲む飲料の味覚評価に心理的影響を与えることは報告されてきた。しかし、飲料を飲む際にはグラスの形状などが視界に入らないため、同研究室は「グラスの飲み口の厚み」が味覚評価に与える心理的影響に着目し、継続的に調査してきた。緑茶を用いた先行研究では、飲み口が厚いグラスで緑茶の甘味が強く、薄いグラスで苦味が強く感じられることが示されていた。
この効果がビールでも確認されたことで、現象の一定の普遍性が確認された。この成果は、人間の感覚統合における心理、神経メカニズムのさらなる解明につながることが期待される。また、実社会への波及効果として、グラスの厚みを変えて味の感じ方をコントロールすることや、料理に合わせた1杯を提供するなど、新たな体験価値の創出が期待される。
ビールの副産物を紙コップの原料にアップサイクル
自動運転トラックは酒類/飲料を高品質かつ安全に運べるのか、T2と大手4社が実証
サッポロビール、AIでビールやRTDの需要を予測するシステムを本格運用開始
止まらない生産設備で年間8000万個、パナソニックEW津工場のモノづくり
人工太陽の実現に向けプラズマを制御せよ! 誤差±2mmでコイル完成
炎上したのは暑過ぎた夏のせい!? 永守イズムのマイクロマネジメントを懐かしむCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
コーナーリンク