設計スキルのレベルアップを目指す設計者の皆さんを“冒険者”に見立て、さまざまな“問(モン)スター”に挑む「テルえもんクエストII」の世界へようこそ。【レベル7】のテーマは、「3D CADのロフトとスイープをマスターせよ!」だ。
メカ設計における3D CADを使ったモデリングでは、主に「押し出し」「回転」「穴」「フィレット」といった基本的なコマンドを用いることで、多くの部品は作成できます。しかし、製品の付加価値が「形状」そのものに強く依存する現在、こうした基本機能だけでは表現し切れない形状が、確実に増えてきています。
配管やハーネス、フレーム構造、流体を意識したダクト、意匠性を伴う筐体、人体や手に触れる製品形状など、連続的に変化する断面や、空間的にうねるような形状は、今や特別なものではありません。
こうした形状を扱うために欠かせないのが、「ロフト」と「スイープ」です。今回は、これら2つの機能を単なる形を作るコマンドとしてではなく、設計力を一段引き上げるための思考ツール(アイテム)として捉え直し、実務で生かすための考え方とポイントを伝授します。
ロフトとは、複数の異なる断面形状を滑らかにつなぐことで立体を作成する機能です(図1)。断面と断面の間にガイドカーブを指定することもでき、形状の変化をより柔軟に制御可能です。ガイドカーブは「後付けの調整」ではなく、設計初期から形状意図を表現するための重要な設計要素になります。
ロフトの本質は、単に断面をつなぐことではありません。設計者が意図する形状変化のプロセスを、そのままモデルに反映できる点にこそ価値があります。例えば、入り口側は流量を確保するために大きくし、中間部で流速を整え、出口側で接続先に合わせて形状を変える、といった設計も行えます。
ロフトは、「一定断面の押し出し」では表現できない形状を扱う際に有効であり、「変化の過程」を正確に形状として表したい場合に本領を発揮します。
使用時の注意点として、断面の向きやガイドカーブとの関係によっては、形状にねじれが生じ、エラーとなる場合があります。ロフトはできるだけシンプルに、設計意図が明確に分かる形状で作成することが重要です。
ロフトの具体的な使い方については、テルえもん直伝のYouTube動画をご覧ください(動画1)。
スイープは、断面形状を指定した経路(パス)に沿って移動させることで立体を作成する機能です(図2)。押し出しが断面を直線的に移動させるのに対し、スイープでは曲線に沿って断面を移動させます。配管やハーネス、フレーム構造などの作成に適した手法です。
ロフトが「断面と断面をつなぐ」考え方なのに対し、スイープは「断面を運ぶ」という発想のモデリング手法になります。基本は「一定断面+経路」という考え方です。
注意点として、経路の曲率が急激に変化していたり、折れが含まれていたりすると、形状が正しく作成できない場合があります。
スイープの具体的な使い方についても、テルえもん直伝のYouTube動画をご覧ください(動画2)。
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