ギガキャストの超巨大ダイカスト成形機「ギガプレス」はどうやって作られたのかいまさら聞けないギガキャスト入門(3)(4/6 ページ)

» 2025年12月02日 07時30分 公開

5.IDRA以外のFSA加盟企業について

 表4では、FSAに参画しているIDRA以外の代表企業と、報道/技術資料で言及されている分野/役割について整理した。

企業名 主な専門分野/供給分野 FSA内で担う役割 補足/具体例情報
Stotek 溶湯炉(Melting furnaces)、ドージング炉(Dosing furnaces) 溶湯供給、溶湯処理系設備をFSAネットワークとして提供 KMA-Filterの技術PDFで、FSA加盟企業として“Stotek-manufacturer of melting and dosingfurnaces”と紹介
Costamp(Co.Stamp) 金型設計/金型製造 鋳造用金型/工具設計、金型技術ソリューション提供 CostampはFSAの一員として、鋳造セル全体の統合ソリューションにおいて、金型部を担当する役割を明記
Fondarex 真空装置/真空システム 真空除気システム、真空タンク、真空バルブなどをFSA網で提供 KMA-Filterの資料で“Fondarex-manufacturer of vacuum systems”と記載
I.E.C.I. 温調装置(温度制御、冷却、加熱) 金型温調機、温度制御装置をFSAネットワークで提供 KMA-Filter資料で“I.E.C.I.-manufacturer of tempering systems”と明記
Wollin スプレー装置/離型剤噴霧システム 金型への離型剤吹付装置(リリース剤スプレー)を提供 KMA-Filter資料で“Wollin-manufacturer of spray systems”と紹介
KMA Umwelttechnik 排気処理/熱回収/空気クリーン/フィルター技術 鋳造セルの排気/換気、熱回収装置、クリーン空気処理システムを提供 KMA-Filter資料で“KMA Umwelttechnik-manufacturer of exhaust airfilter sandheat recovery systems”と記載
Meccanica Pi.Erre トリミング/ポスト処理機器 鋳造後のトリミング装置、仕上げ加工装置を提供 KMA-Filter資料で“Meccanica Pi.Erre-manufacturer of trim and post-treatment systems”と紹介
表4 IDRA以外のFSA加盟企業とその主な役割/専門分野 出所:KMAFilter

 ここからは表4に示したFSAパートナーの各社について見ていく。

1)Stotek A/S(ストーテック)

 Stotekは、Ivan Byskov(イヴァン・ビュスコフ)氏が1987年に設立した企業で、デンマークのネストヴェズ(Nestved)に本社を置く、アルミニウム溶解、保持技術に特化した産業機械メーカーだ。特にアルミニウム鋳造業界向けに、高性能でエネルギー効率の高い溶解炉、保持炉、定量給湯システムやアルミニウム鋳造プロセスにおける「溶解(Melting)」「保持(Holding)」「給湯(Dosing)」の3つの主要工程に焦点を当てたソリューションを提供。

 主要技術と製品について以下の3点が挙げられる。

  1. 定量給湯炉(Dosing Furnaces):「Dosotherm(ドソターム)」に代表される定量給湯システムは、溶融アルミニウムを鋳造機(ダイカストマシンなど)に正確な量とタイミングで供給する
    • 特徴:非常に高い給湯精度(最大でも±1%以内)と溶湯温度の厳密な管理(±1℃)により、鋳造品の品質安定と不良率の低減に貢献する
  2. 溶解炉/保持炉(Melting and Holding Furnaces):アルミニウム原料を溶解し、鋳造に適した温度で長時間保持するための炉を提供する
    • 特徴:特殊な断熱技術と高効率な加熱システムにより、従来の炉と比較してエネルギー消費量を大幅に削減(文献によっては40〜80%の削減効果をうたう場合もある)
  3. 自動化と制御システム:高性能な制御システムを搭載しており、生産プロセスの最適化、生産効率の向上および予期せぬ生産停止(ダウンタイム)の低減をサポートしている
    • 市場と貢献:主な顧客は、自動車の構造部品、エンジン部品、シャシー部品など、高品質のアルミニウム鋳物が求められる分野のメーカーである。同社は、鋳造プロセスの自動化と環境性能の向上を通じて、顧客の生産コスト削減と持続可能性の達成に貢献している

2)Costamp Group S.p.A.(コスタンプグループ)

 Costamp Groupは、Corti(コルティ)家が1968年に設立した企業グループでイタリアのレッコ近郊に本社を置く。主にアルミニウム鋳造(ダイカスト)およびプレス成形用の金型設計/製造を専門とする。特に自動車産業向けに高度な金型ソリューションを提供し、軽量化と高精度化のニーズに対応。同社は長年にわたり、特にHPDC(高圧ダイカスト)※4)金型技術において専門知識を培ってきた。ダイカスト金型は、自動車部品の大量生産において、軽量かつ複雑な形状の部品を高精度に鋳造するために不可欠なツールである。

  1. 事業拡大:自動車産業のグローバル化に伴い、特に大型で複雑なアルミニウム部品用の金型で評価を確立
  2. e-モビリティへの対応:近年では、EVの軽量化のトレンドに対応するため、バッテリーハウジングや大型構造部品(ギガキャスト関連技術を含む)向けの高度な金型ソリューション開発に注力している
  3. グループ化:複数の専門企業を買収/統合し、金型設計からエンジニアリング、試作までを一貫して提供できるグループ体制を確立

 Costamp Groupの事業内容と技術については主に以下の3点が挙げられる。

  1. ダイカスト金型:アルミニウムおよびマグネシウム合金向けの大型/高耐久性金型が主力。高い熱サイクル耐性と長寿命が特徴
  2. エンジニアリング:CAEとシミュレーションの技術を駆使し、金型設計の初期段階から鋳造プロセス全体を最適化する
  3. 試作サービス:顧客の要求に応じた鋳造部品の試作や小ロット生産にも対応し、開発期間の短縮に貢献する。

 同社は、特に自動車産業における「軽量化」と「電動化」の波に乗り、グローバルな主要サプライヤーとしての地位を築いている。

※4)高圧ダイカスト(HPDC:High Pressure Die Casting)は、溶けた金属を、非常に速く、非常に高い圧力で金型に押し込んで製品を作る鋳造方法。これは、自動車部品など、大量生産される精密な金属部品を作るために最も広く使われている技術の一つ。HPDCプロセスは、基本的に以下のステップで構成される。

金型の準備:頑丈な鋼鉄製の金型(ダイ)をダイカストマシンにしっかりと固定する
高速/高圧の射出:溶融金属(主にアルミニウム、亜鉛、マグネシウム合金)を、油圧プランジャーを使って極めて速い速度(時速160km以上になることも)で金型内部に注入する
高い圧力で固める:注入後も、金属が固まるまで非常に高い圧力(300〜700気圧以上)を保つ。この高圧が、製品の精度と表面品質を確保する
取り出し:金属が固まったら金型を開き、製品を取り出する

 主なメリットは次の4つ。

(1)高い生産速度(鋳造サイクルが非常に短く、大量生産に極めて適している)
(2)優れた寸法精度(高圧で成形するため、複雑な形状でも高い寸法精度が得られ、後の機械加工(削る作業)を大幅に削減できる)
(3)滑らかな表面(表面が滑らかで美しく、良好な仕上がりが得られる)
(4)薄肉成形が可能(高圧で充填するため、他の鋳造方法では難しい肉厚の薄い部品(軽量化に貢献)の成形が可能。)主な課題(そしてGIGAマシンの背景)

 HPDCには以下のような大きな欠点があり、これがGIGAマシンなどの技術革新の動機となった。

1.ポロシティ(気孔)の問題:溶融金属が高速で金型に流れ込む際、金型内の空気や溶融金属中のガスが巻き込まれ、製品内部に気泡(ポロシティ、ブローホール)として閉じ込められやすい。これにより、製品の強度が低下したり、熱処理や溶接が難しくなったりする
2.高価な金型:高圧に耐えるため、金型は非常に頑丈で高精度に作る必要があり、初期コストが高くなる

自動車産業との関係:HPDCは、自動車のエンジンブロック、トランスミッションケース、各種ハウジングなど、大量生産される複雑な部品製造に長く使われてきた。近年、EVへの移行に伴い、車体を一体成形するギガキャストが注目されている。これは、HPDCの技術を応用し、より巨大で、強度を損なう欠陥(ポロシティ)を最小限に抑えた大型構造部品(一体型シャシーなど)を製造する最先端の取り組みである。

3)Fondarex S.A.(フォンダーレックス)

 Fondarexは、Fritz Hodler(フリッツ・ホドラー)氏が1946年に設立したスイスに本社を置く、主にダイカスト(高圧鋳造)プロセスの品質向上を目的とした真空システムの世界的なパイオニア企業である。

 同社は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛などの合金鋳造時におけるガスの巻き込みを防ぐための革新的な技術を提供し、鋳造品の欠陥低減と機械的特性の向上に貢献してきた。その最も重要な功績は、1952年に高圧ダイカスト産業向けの世界初の真空システムを発明、実用化したことである。ダイカストプロセスにおいて、金型内の空気やガスを真空ポンプで吸引することで、湯流れの改善や表5に示す鋳造欠陥(ポロシティ、ブローホールなど※5))の低減に劇的な効果をもたらした。この技術は、特に自動車産業においてアルミニウム部品の品質と強度への要求が高まるにつれて不可欠なものとなった。

欠陥の分類 定義 主な原因 影響(ダイカスト部品)
ポロシティ 鋳物内の微細な空洞の総称。ガスや収縮が原因 ガス、溶融金属の凝固収縮 強度低下、リーク(漏れ)、表面仕上げ不良、熱処理時の膨張
ブローホール ポロシティのうち、ガスに起因する比較的大きく、球状の空洞 金型内の空気、溶融金属中のガス(水素など)、離型剤の揮発 ポロシティと同様だが、特に構造的欠陥として致命的になりやすい
引け巣(Shrinkage Porosity) ポロシティのうち、凝固収縮に起因する不規則な形状の空洞 凝固の最終段階で、液体金属が十分に供給されなかった部分 応力集中による疲労破壊、機械的強度低下
表5 鋳造欠陥の分類

 設立後の展開については、1989年にKonrad Baumgartner(コンラート・バウムガルトナー)氏によって経営が引き継がれた。2002年には、培った真空技術を応用し、プラスチック射出成形産業向けにも最初の真空システムを発売し、事業領域を拡大した。

 Fondarexの主要技術と製品は鋳造品の内部品質を劇的に向上させることに特化されており、特徴として主に次の3点が挙げられる。

  1. HIGHVAC/VACUUM SYSTEM(真空システム):金型キャビティ内のガスを効率的に除去し、鋳造品内部の多孔性(ガス欠陥)を最小限に抑える。これにより、T5やT6などの熱処理が可能なアルミニウム部品の製造が可能になり、部品の軽量化と高強度化に貢献する
  2. GAS CONTROL SYSTEM(ガス制御システム):真空度の制御だけでなく、金型内のガス発生状況や真空引きのタイミングを精密に管理し、プロセスの再現性と安定性を高める
  3. 射出成形用真空システム:樹脂成形分野でも、金型内のガス抜きを行うことで、ショートショットや焼け、製品の強度不足といった欠陥の防止に利用されている

※5)ポロシティ(Porosity、気孔)とは、鋳造された金属製品の内部や表面近くに不規則に存在する微小な空洞(穴)の総称。その発生原因により、「ガス気孔」と「引け巣(ひけす)」の2つに大別される。ブローホール(Blowhole)は、ポロシティの一種である「ガス気孔」の中でも、比較的大きく、滑らかな内壁を持つ球状の空洞を指す。

4)I.E.C.I. S.r.l.(アイイーシーアイ)

 I.E.C.I.(IECI)は、1972年にイタリアのブレシア県パッシラーノに電気油圧プラントエンジニアリング会社として設立された。その後1980年代以降は金型温度制御装置の製造に特化した。

 IECIの核となる技術は精密な金型温度制御であり、これにより鋳造/成形プロセスの品質と効率を保証できる。現在は、ダイカストおよび射出成形向けの金型温度制御システムを専門とする大手メーカーで、ダイカスト、射出成形、押出成形、ゴム加工分野における最も過酷で過酷な生産環境でも動作可能なハイテク温度コントローラーの製造におけるリーダーである。最高200℃の加圧水と最高350℃の透熱油に対応し、IECIのTCU(温度制御ユニット)は冷却段階と加熱段階の両方に対応し、市場最高の性能を保証する。4大陸に拠点を置き、30カ国以上に技術および販売サポートネットワークを展開している。

 継続的な技術研究により、射出グループ(プランジャーとショットスリーブ)、コア冷却機、マルチチャネル冷却システムおよび急冷タンク専用の特別な温度コントローラーを開発した。IECIの主力製品は温度制御ユニットだが、鋳造焼入れタンクや接続プラント、エネルギー転送において洗練された技術を有している他、以下のような技術も開発してきた。

  • インバーター技術と加熱システムに関する特許取得により、省エネとメンテナンスの大幅な削減を実現
  • オープンソフトウェア:IECIは、TCUを完全に制御し、あらゆるブランドのダイカストマシンとの完全なインタフェースを提供する
  • インダストリー4.0環境の開発により、IECIは独自のIoT(モノのインターネット)システムを開発し、全てのユニットを企業ネットワークに接続できる
  • IECIの温度制御は、金型だけでなく、プロセスのあらゆる段階に固有のソリューションを提供する
  • プランジャー、ショットスリーブ、コアおよびスポット冷却用の制御ユニットも提供

 ギガキャスト、メガキャスト、ハイパーキャスティングプラントの温度制御システムは、1万2000トンを超える大型ダイカストユニット向けに開発された。従来の温度調節システムをしのぎ、ダイカストユニット内の温度制御システムの簡素化と最適化を実現する。

5)Wollin GmbH(ウォーリン)

 Wollinは、Rudolf Wollin(ルドルフ・ウォーリン)氏が1980年に設立したドイツのレムゴー(Lemgo)に本社を置く、主にダイカスト(鋳造)産業向けのスプレー技術と自動化システムを専門とする産業機械メーカー。同社のシステムは、特にアルミニウムおよびマグネシウムの高圧ダイカストプロセスにおいて、金型への離型剤の塗布(スプレー)と部品の取り出しおよびその他の自動化ソリューションを提供し、鋳造プロセスの効率と品質の向上に不可欠な役割を果たしている。

 同社の事業の核は、ダイカストプロセスの安定性と製品品質を決定づける「離型剤のスプレー技術」と、生産効率を最大化する「自動化」にある。

 Wollinの主要技術と製品は以下の3点が挙げられる。

  1. スプレーシステム(Spray Technology)
    • 目的:溶融金属を金型に射出する前に、金型の温度管理と離型を容易にするため、離型剤を金型表面に正確かつ均一に塗布する
    • 特徴:高度なCNC制御スプレーシステムを提供しており、金型の特定ゾーンに対して離型剤の量やスプレー圧を精密に調整できる。これにより、金型の温度を最適に保ち、鋳造サイクルの短縮と不良品の削減に貢献する
  2. 自動化/周辺機器
    • 取出機(Extractor/Robot):鋳造後の製品を金型から自動で取り出し、次の工程(トリミング、冷却など)へ供給する高速かつ精密なロボットシステムを提供
    • フルオートメーションセル:スプレー、取り出し、冷却、トリミング、マーキングなど、鋳造機周辺の全ての工程を統合的に管理/実行する自動化ソリューションを一括で設計/構築する

 Wollinの技術は、特に自動車産業におけるアルミニウム製エンジンブロック、トランスミッションケース、構造部品など、高い品質と生産性が求められる部品の製造に広く利用されている。同社は、継続的な技術革新を通じて、顧客の生産効率の向上とコスト削減、そして鋳造品の安定した品質確保に貢献する。

6)KMA Umwelttechnik GmbH(KMA環境技術)

 KMA Umwelttechnikは、Josef Kurtsiefer(ヨーゼフ・クルツィーファー)氏が1959年に設立し、ドイツのケーニヒスヴィンター(Konigswinter、ボン近郊)に本社を置く、産業用の排気(排ガス)ろ過システムおよび熱回収システムを専門とする環境技術メーカー。特に高いエネルギー効率と持続可能性を特徴とする革新的なフィルター技術を提供しており、鋳造、金属加工、食品加工、繊維など、さまざまな産業における空気清浄化とCO2排出量削減に貢献している。

 KMA Umwelttechnikのシステムは、特に油煙、ミスト、煙、においを含む産業排気の処理に特化している。主な特徴として次の2点が挙げられる。

  1. 静電フィルター(Electrostatic Filters)
    • 技術:同社の中心的な技術であり、高い分離効率を誇る。微細な粒子や油煙を電気的に帯電させ、集じんプレートに吸着させる方式
    • 特徴:フィルター交換が不要であるため、運用コスト(消耗品費)を大幅に削減できると同時に、耐久性が高く、効率的な資源利用を可能にする
  2. 熱回収システム(Heat Recovery System)
    • 排気処理プロセスで除去された熱を回収し、建屋や生産プロセスへ再利用するシステムを統合して提供する
    • この熱回収システムにより、顧客はエネルギー消費量とCO2排出量を大幅に削減でき、高い「エコ効率(Eco-efficiency)」※6)を実現している

※6)エコ効率(Eco-efficiency)とは、環境負荷を最小限に抑えながら、経済的な価値を最大化するという考え方および戦略のこと。つまり、「より少ない資源で、より多く、より良いものを生み出す」ことを目指す。ギガプレスの製造プロセスにおけるKMA Umwelttechnik(排気フィルターおよび熱回収システムメーカー)の役割は、まさにエコ効率の実現に直結している。

排気フィルター:産業排気(油煙、ミスト)を浄化し、環境負荷(汚染物質)を低減
熱回収システム:ろ過プロセスで発生した排熱を回収し、建屋やプロセスに再利用することで、エネルギー消費を大幅に削減(コスト削減)

 これらの取り組みは、環境保護(Eco)とランニングコスト削減(Efficiency)を同時に達成する、典型的なエコ効率の高いソリューションといえる。

 KMA Umwelttechnikの企業理念と社会貢献は、創業以来、持続可能性と革新を核となる価値観として掲げており、その高性能な環境技術は、欧州の排出基準を確実に順守させるとともに、顧客のランニングコスト削減に貢献している。世界中で3000基以上のフィルターシステムが稼働しており、産業界の環境保護に重要な役割を果たしている。

7)Meccanica Pi.Erre S.r.l.(メカニカ・ピ・エレ)

 Meccanica Pi.Erreは、イタリアに拠点を置く、主に鋳造産業向けのトリミングプレス(バリ取り機)と機械加工システムの設計/製造を専門とする企業である。同社は、鋳造プロセスで発生した不要な部分(バリやランナーなど)を迅速かつ高精度に除去する機械を提供することで、鋳造部品の品質と生産性の向上に貢献している。

 同社は鋳造プロセスにおける「仕上げ(フィニッシング)」段階に特化した技術に強みを持つ。鋳造工程において、製品と同時に不要な湯口や湯道(ランナー)、そして金型の合わせ目から漏れ出た薄い金属(バリ)が発生する。これらの部品を効率的かつ正確に除去する作業は、鋳造後の品質保証と生産速度に直結する。

  1. トリミングプレス(Trimming Presses)
    • 役割:鋳造されたままの製品から、バリやランナーを切り離すために使用される油圧式または機械式のプレス機
    • 特徴:同社のプレス機は、堅牢な構造と高い精度を誇り、特にアルミニウムやマグネシウムなどの軽金属ダイカスト部品の複雑な形状のバリ取りに適している。プレス能力とストローク速度を最適化することで、タクトタイム(生産時間)の短縮に貢献する
  2. トリミング金型(Trimming Dies)
    • プレス機とセットで使用される専用の金型であり、バリ取りの精度を決定づける
    • 同社は、顧客の部品形状に合わせたカスタムメイドの金型を設計/製造するエンジニアリング能力を持つ
  3. 自動化システム
    • トリミングプレスや機械加工ユニットを統合し、部品のローディング、アンローディング、検査などを自動で行う完全自動化セルの構築も提供している。これにより、手作業を削減し、一貫した品質と高い生産性を実現する

 Meccanica Pi.Erreの市場と貢献については、主な顧客は自動車産業であり、エンジン部品、トランスミッション部品、構造部品など、大量生産される精密なアルミニウム鋳造部品の仕上げ加工を支えている。同社のソリューションは、生産コストの削減と、部品の最終的な品質向上に不可欠な要素となっている。

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