IDRAグループは、ギガプレスの製品ラインであるNEOブランドの大型ダイカストマシン開発のパイオニアであり、既に米国、欧州、アジアで成功を収めている。この欧州メーカーは現在、型締力5500、6100、8000、9000、1万2000トンなどのモデルを提供している。
しかし、ギガプレスはIDRAだけの技術でできているわけではない。同社は、ギガプレスを実現するための高性能で効率的な鋳造セル(成形機械+周辺補助装置)を構築するために、FSAという独立した業界専門家のネットワークと緊密に連携しているのである。
そのFSAの詳細は次ページ以降で述べるが、ここではその概略を説明する。
図1は、鋳造セルの各分野のリーディングカンパニーが協力するFSAによってギガプレスが完成する様子が分かりやすく示されている。もともとは型締め力1000トンクラスの装置を用いていたが、後に6000トンクラスの装置が開発される以前から協業していた。
FSAには、巨大ダイカスト成形機の本体をつくるIDRAに加えて、溶解炉および供給炉メーカーのStotek(デンマーク)、成形ツールメーカーのCostamp(イタリア)、真空システムメーカーのFondarex(スイス)、焼き戻しシステムメーカーのI.E.C.I.(イタリア)、スプレーシステムメーカーのWollin(ドイツ)、排気フィルターおよび熱回収システムメーカーのKMA Umwelttechnik(ドイツ)、トリムおよび後処理システムメーカーのMeccanica Pi.Erre(イタリア)が加盟している。これらの企業は協力して、鋳造セルの設備全体にわたる革新的なソリューションを提供している。
これは、従来サイズのモデルだけでなく、特に新世代の大型鋳造セルにも対応してる。1ショット当たり最大160kgのアルミニウム供給重量を持つ鋳造部品の製造は、非常に困難な課題である。
図2に、テスラで採用されたギガプレスの主な構成の一例を示す。
連載第2回で述べたように、超巨大ダイカストマシンは、主に次の8つのパートナー連携企業体(協業企業メーカー)が出そろって、初めて成立する。すなわち、
上記8つのパートナー連携企業体によって図2に示す超巨大機械のギガプレスが成立するのである。表2に、FSAを構成する装置/システムの分類や構成要素、協業企業の例をまとめた。
| 分類 | 構成要素 | 協業企業/サプライヤーの例 |
|---|---|---|
| (1)プレス成形マシン | ギガプレス本体(DCM:ダイカストマシン) | IDRA(本体製作メーカー)とIDRAグループのメーカー |
| (2)金属材料 | アルミニウム合金など | 金属材料関係のサプライヤー |
| (3)溶融保持装置 | 溶融保持炉、溶湯供給炉 | Striko Westofen(Striko Melter、Lean Melter) |
| (4)金型製作 | 金型 | 各自動車メーカー、金型製作メーカー |
| (5)真空装置 | 金型内の高真空化 | 本体製作メーカー、サプライヤー |
| (6)射出高圧システム | 5Sインジェクションシステムなど | 本体製作メーカー(IDRA)、サプライヤー |
| (7)自動化/搬送 | ロボット | 成形部品搬送/清掃/離型剤塗布用ロボットメーカー |
| (8)成形品の後処理 | トリム | 機械式トリムプレス、プラズマアークトリミングを行うメーカー |
| (9)品質検査 | 検査装置 | X線検査装置、レーザースキャン(CMM) |
| 表2 ギガプレスを構築するFSA(IDRAと主要な協業連携企業体/サプライヤー) | ||
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