デモンストレーションの1つ目は、オンセミの車載イメージセンサー「AR0341AT」と、米国NVIDIAの車載コンピューティングプラットフォーム「DRIVE AGX Orin」を連携させ、低照度条件下での画像認識精度を検証するものだ。
AR0341ATは、画素サイズが2.1μmでLFM(LEDフリッカー抑制技術)を備え、単一露光で最大120dB、2回露光で最大150dBのダイナミックレンジ性能を備えている。発熱が少なく、モジュールサイズが小さいため、より小型のカメラ設計が可能。暗い領域でのノイズ低減、低照度でのディテールが高いことから、電子ミラーや、パーキングアシスタントシステムなどへの活用を想定しているという。
デモンストレーションでは、0.3ルクス(月明り程度)〜0.05ルクス(ほぼ真っ暗)の明るさの下で、標識の色やマークを問題なく認識する様子が確認できた。
2つ目のデモも同じく「AR0341AT」を使用し、米国IndieのISP(画像処理プロセッサ)「iND880 ISP」を連携させることで、トンネル内など明暗差がある状態の視認性を実証した。この組み合わせは、画素数300万の解像度を保ちながら、60fpsで最大144dBのダイナミックレンジを実現する。これにより、明るい場所と暗い場所が混在するシーンでも、白飛びや黒つぶれを抑えて両方のディテールを鮮明に映し出すことが可能だという。また、動作遅延は1ミリ秒未満かつ、電源を入れてから映像が表示されるまでは500ミリ秒未満であり、十分に遅延の少ないリアルタイム性能も備えている。
デモンストレーションでは、トンネル内から出る直前の照度に大きな差がある状況でも、信号機や周りの障害物を認識できる様子も公開した。フロントカメラや電子ミラーなどへの活用を想定している。
3つ目には、現在開発中の「ベイヤーグローバルトーンマッピング(BGTM)」を搭載したカメラのデモンストレーションを紹介した。これは、高圧縮が可能なアルゴリズムをイメージセンサー側に組み込めるようにすることで、ISPを変更せずにカメラの性能向上を図れる技術である。
オンセミでは、最大150dbの明暗差を捉えられるダイナミックレンジを持つイメージセンサーを開発しているが、センサーが収集する生データ(RAWデータ)はデータ容量が大きくなりがちであり、既存の20ビットや24ビットのISPでは処理できない場合がある。そこで、BGTMによりイメージセンサー側でデータを圧縮することで、ISPを変更することなく、より高い性能を持ったイメージセンサーを適用した製品の開発が可能になるというわけだ。
性能実証も進んでおり、LED交通信号機のちらつきや、ブレーキランプ点灯時などの白飛びを軽減する効果が確認されている。この技術は現在、製品化に向けた実証段階である。
オンセミが車載イメージセンサーにRCCBを採用、輝度向上に向け新たな提案
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