清掃ロボットを完全内製化したアイリスオーヤマ、AIとの融合でさらなる進化へロボット開発クローズアップ(2/4 ページ)

» 2025年11月06日 06時00分 公開
[森山和道MONOist]

日本の清掃現場の需要に合わせて設計された「JILBY」

シンクロボ 代表取締役社長の小倉崇氏 シンクロボ 代表取締役社長の小倉崇氏

 JILBYの詳細についてはシンクロボ 代表取締役社長の小倉崇氏が紹介した。小倉氏は「内製化によって本当に必要なロボットを必要なタイミングで販売できるようになった。販売先から得られるフィードバックを得てユーザーイン開発を進めてきた。大連工場で製造しているのでハードウェアの製造コストのコントロールもできている。ここまで自社で開発体制と供給体制を構築できている会社は国内には他にない」と述べる。

 JILBYは、日本の清掃現場の需要に合わせた設計となっており、自動充電機能と着脱式バッテリーを両立している。充電忘れを防止すると同時に、充電による非稼働時間を大幅に短縮し、大面積の清掃ニーズに対応する。汚れ具合に応じてパワーモード、ノーマルモードの他、静音モードも備えているので日中の商業施設でも運用できる。また、ロボット本体の正面側には10インチモニターを搭載している。高齢者が多い現場向けに操作性を向上させた。また、商品販促動画などを表示しながら清掃させることもできる。

「JILBY」は着脱式バッテリーを容易に交換できる10インチモニターを搭載しており、ロボット操作の他、サイネージとしても使える 「JILBY」は着脱式バッテリーを容易に交換できる(左)。10インチモニターを搭載しており、ロボット操作の他、サイネージとしても使える(右)[クリックで拡大]

 集じんは簡単に交換可能な紙パック方式を採用。また、足をかけるステップなどを備え、回転ブラシの交換を容易にする他、機体を傾けて運びやすくした。高齢者の従業員が多い清掃現場のニーズに応える。

集じんは容易に交換可能な紙パック方式を採用ロボット本体を簡単に傾けられるので人手でも運びやすい 集じんは容易に交換可能な紙パック方式を採用(左)。ロボット本体を簡単に傾けられるので人手でも運びやすい(右)[クリックで拡大]
ロボット本体の下面消耗品であるブラシを交換するのも簡単に行える ロボット本体の下面(左)から、消耗品であるブラシを交換するのも簡単に行える(右)[クリックで拡大]

 ソフトウェアの内製により、外部機器との連携も柔軟に対応できるようになった。具体的には、ビル施設のフラッパーゲートなどとの連動も容易になり、ニーズに合わせて清掃範囲を拡大できる。AIプラットフォームやビルOSとの連携も可能。走行速度の調整などの細かいカスタマイズや、複数台制御にも対応する。

ソフトウェアの内製により外部機器との連携も柔軟に対応ニーズに合わせた機能追加も可能だ ソフトウェアの内製により外部機器との連携も柔軟に対応する(左)。ニーズに合わせた機能追加も可能だ(右)[クリックで拡大]

 小倉氏は「われわれシンクロボがグループ会社に加わって2年経過したが、今回は非常に大きな一歩を踏み出せた。だが、労働力不足など社会課題の解決に向けた第一歩にすぎない。今後もさまざまなロボットを開発していく予定だ」と強調する。

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