軽トラ市は、軽トラックの荷台に食料品や地元の特産品、雑貨などの商品を陳列し販売する市のことである。地方での利用が浸透している軽トラックで商品を運んで、荷台を使ってそのまま販売できる手軽さもあり、全国で開催が広がっている。2005年に岩手県雫石町で誕生してから、現在は全国で150以上の軽トラ市が開催されているという。
軽トラ市は、シャッター通りと呼ばれる地方の商店街で開催されることも多い。軽自動車のサイズであれば、商店街にそのまま乗り込んで露店を並べても人が行き交うスペースが残り、多くの来場者に市を楽しんでもらえるからだ。このため、シャッター商店街の活性化の手段としても期待を集めている。
2024年10月時点における軽トラ市の統計データとしては、平均来場者が1回当たり1450人、平均出店台数が1回当たり21台、1つの軽トラ市における年間の開催頻度は平均9.7回でおおむね月1回となっている。
軽トラ市の魅力は、対面での会話を通したコミュニケーションにある。出店者と来場者だけでなく、生産者と購入者、出店者と運営者などさまざまな関係性の中で対面での会話が繰り広げられる。また、軽トラ市と能登半島地震で被災した石川県輪島市の輪島朝市が同じ市であることから、軽トラ市で輪島朝市の商品を販売するなど復興支援の場にもなっている。
日本自動車工業会は、この軽トラ市を支援すべく「軽トラ市サイト」で全国の軽トラ市を紹介している。また、「Japan Mobility Show 2023」と連動する企画として、「軽トラ市 in ジャパンモビリティショー2023」を初開催した。また、2025年8月に輪島市で開催された「輪島復興朝市×全国軽トラ市in輪島」は、軽自動車委員会傘下の軽まつり分科会がプロモーションをサポートした。
今回の軽トラ市 in ジャパンモビリティショー2025は、前回と同様に東京ビッグサイトと臨海線の国際展示場駅の間にある「石と光の広場」で開催される。岩手県から宮崎県まで全国の軽トラ市11団体から出店する38台を中心に、自動車メーカーが出店するOEM出店エリアなどを含めて合計56台がそろう。
OEM出店エリアでは、ダイハツ工業のリモート軽トラ市、日産自動車のわくわくエコスクールを行い、ホンダの軽商用EV(電気自動車)から必要な電力を供給する。スズキは、「輪島朝市復興軽トラ市」と題して、軽トラ市スタイルで輪島朝市から4台が出店する。三菱自動車は、輪島市とのリモート中継用の電力を軽商用EVで供給するとともに、災害時のEV活用事例などを紹介する予定だ。
鈴木氏は「軽トラ市が全国に普及しより便利になるように協力していきたい。その一環として地域の販売会社による応援も必要になるだろう。人と人とのつながり、温かみを感じられる軽トラ市の魅力を発信しながら、より便利になるように軽自動車を進化させていかなければならない」と述べている。
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