今回のリコール対象製品については、2025年10月21日までに、消費生活用製品安全法 第35条第1項に基づき、アンカー・ジャパンから計41件の重大製品事故報告(※注1)がなされている。また、同社の他のリチウムイオン蓄電池搭載製品についても、複数の重大製品事故報告が寄せられている。経済産業省によると、これまでも同社製品について、複数回のリコールが実施されており、その対象台数は約50万台に上るという。
※注1:消費生活用製品の製造/輸入事業者は、製品による死亡事故、治療期間30日以上の負傷/疾病、後遺障害、一酸化炭素中毒、火災などの重大製品事故が発生した場合、その発生を知った日を含め10日以内に消費者庁へ報告しなければならない。
以下、経済産業省が公開しているリコール情報の一覧を基に、これまでのアンカー・ジャパンによるリコールの実施状況をまとめた。
リコール日 | 製品名 | 原因 | 重大製品事故の有無 | 対象台数(合計) |
---|---|---|---|---|
2019年7月8日 | USB急速充電器「Anker PowerPort Atom PD 4」(詳細はこちら) | 製造工程において発生した不良品(初期ロット内40個)が正常品と混在した状態で出荷されていたことが判明したため | − | 1791台 |
2023年2月7日 | リチウム電池内蔵充電器「Anker 535 Power Bank(PowerCore 20000)」(詳細はこちら) | 海外で本製品が発火する事象が発生したため | − | 3627台 |
2023年8月22日 2023年10月16日 (対象追加) |
自走式電気掃除機「Anker Eufyシリーズ」の複数機種(詳細はこちら) | 当該製品に搭載されるバッテリーの不具合による重大製品事故が発生しており、一部製品で同様の事故に至る可能性があるため | ○ | 1万1725台 |
2023年10月16日 | 携帯型電気冷蔵庫「Anker EverFrost Powered Coolerシリーズ」の複数機種(詳細はこちら) | 当該製品に搭載されるバッテリーの不具合による重大製品事故が発生しており、一部製品で同様の事故に至る可能性があるため | ○ | 2051台 |
2024年4月4日 2024年6月6日 (対象追加) |
スピーカー「Anker SoundCore ブラック」(詳細はこちら) | 一部のロット管理に不備が発覚し、事故の可能性があるため | − | 2420台 |
2024年4月4日 | スピーカーフォン「Anker PowerConf S3 グレー/ネイビー」(詳細はこちら) | 一部のロット管理に不備が発覚し、事故の可能性があるため | − | 2256台 |
2024年9月17日 2025年6月26日 (対象追加) |
リチウム電池内蔵充電器「Anker 334 MagGo Battery(PowerCore 10000)」「Anker Power Bank(20000mAh, 22.5W, Built-In USB-C ケーブル)」(詳細はこちら) | 国外で該当製品が発火する事象の報告が届き調査した結果、製造過程で不備が見つかり事故の可能性があるため。また、継続調査の結果、セル製造サプライヤーによる不適切な部材使用が見つかり事故の可能性があるため | ○ | 6万1626台 |
2025年6月26日 | リチウム電池内蔵充電器「Anker Power Bank(10000mAh, 22.5W)」「Anker MagGo Power Bank(10000mAh, 7.5W, Stand)」(詳細はこちら) | セル製造サプライヤーによる不適切な部材使用が見つかり事故の可能性があるため | ○ | 41万6789台 |
表2 経済産業省が公開している情報から抜粋した、これまでのアンカー・ジャパンのリコール情報(モバイルバッテリー製品以外も含む)(https://www.meti.go.jp/product_safety/recall/) |
こうした状況を踏まえ、経済産業省はアンカー・ジャパンに対し、「(1)リチウムイオン蓄電池に関する国内販売全製品を対象とした総点検の実施」「(2)現在販売している製品についての製造/品質管理体制」「(3)実施するリコールの周知/広報の実施状況」「(4)実施リコールの進捗(しんちょく)状況」の4項目についての報告を要求しており、今後はその報告内容に基づき、適切な対応を行うとしている。
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