2つ目の強化点は、「特化型モデルの開発効率向上」だ。中でも、顧客からの相談が多かった金融、医療、自治体を中心に、事前の専門知識に基づく業務対応能力(ファインチューニング)を強化した。
tsuzumi 2は日本特有の知識を事前に強化しており、海外製の他モデルより少ないデータ量でファインチューニングできるという。例として、ファイナンシャル・プランニング技能検定2級の合格に必要な事前学習量は、Googleの「Gemma-2 27B」と比較すると約10分の1(200問)で済むという結果を示した。
また、tsuzumi 2はパラメータ数を30B(300億)とすることで、引き続き1GPUでの動作を可能としている。これによりオンプレミス環境に導入しやすいとともに、ハードウェアコストは他モデルと比較して、10分の1〜20分の1程度に抑えられるという試算も示した。
生成AIの運用で課題となるセキュリティと安全性に関しても、差別的表現や情報の悪用/誤用、情報漏えいなどを抑制するLLM自体の安全性についても高いスコアを記録しているという。
NTTは、汎用的なタスクにはOpenAIやGoogleなどの汎用生成AIモデルを活用しつつ、企業の機密情報や専門知識が求められるクローズド領域にはtsuzumi 2を提供することで、顧客の多様なニーズに対応していく方針だ。
また、富士フイルムビジネスイノベーションとの連携も開始した。同社のAI技術ブランド「Recti」でデータを構造化し、tsuzumi 2で学習させることで、企業固有の「非構造化データ」の活用を促進する。
今後は、トヨタ自動車と共同開発するモビリティAI基盤や、GMS(総合スーパー)大手のトライアルホールディングスと進めるサプライチェーン全体の効率化を図るリテール向け連鎖型AIなど、産業別の展開も加速させる方針である。
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