日の丸舶用水素エンジンプロジェクトが陸上試験を開始、2028年度から実船実証へ船舶技術(2/3 ページ)

» 2025年10月21日 07時15分 公開
[朴尚洙MONOist]

川崎重工とヤンマーの舶用水素エンジンの開発進捗状況

 川崎重工が開発ターゲットとしている舶用水素エンジンは、単機出力で2M〜8MW、複数台搭載で30MWまでで、主に小型内航船から大型内航船が対象になる。開発目標は平均有効圧力で1600kPa以上、陸上試験の軸端出力で2600kW。水素混焼率は体積ベースで99.9%となる、熱量ベースで95%以上となっている。

川崎重工の舶用水素エンジンの開発ターゲット 川崎重工の舶用水素エンジンの開発ターゲット[クリックで拡大] 出所:川崎重工

 開発エンジンの特徴は、水素エンジンの特性である急峻(きゅうしゅん)な燃焼に対応するため3台のEGR(排気再循環)システムを搭載していることだ。

川崎重工の舶用水素エンジンの特徴 川崎重工の舶用水素エンジンの特徴[クリックで拡大] 出所:川崎重工

 陸上実証用のエンジン開発は完了して陸上実証試験の段階に入っており、今後は実船実証用のエンジン開発に取り組む。認証試験を経て2028年3月に出荷予定だ。その後、川崎重工自身が造船を担当する実証船への艤装(ぎそう)やガステストなどを行った後、2030年度に実船実証を開始する予定である。

川崎重工の舶用水素エンジンの開発スケジュール 川崎重工の舶用水素エンジンの開発スケジュール[クリックで拡大] 出所:川崎重工

 ヤンマーパワーソリューションは、舶用ディーゼルエンジンの技術を基に、水素混焼とディーゼルの二元燃料に対応する出力800kWの中速水素エンジンと、水素専焼で出力1400kWの高速水素エンジンの2機種を開発している。

ヤンマーパワーソリューションは2機種の舶用水素エンジンを開発する ヤンマーパワーソリューションは2機種の舶用水素エンジンを開発する[クリックで拡大] 出所:ヤンマーパワーソリューション

 現時点で開発を完了しているのは中速水素エンジンで、既に陸上実証試験の段階に入っている。陸上実証試験を経て船級承認などを取得した後、2028年度から実船実証に入る方針である。一方、高速水素エンジンは要素技術開発を進めており2028年度に陸上実証試験を始めることを想定している。

中速水素エンジンは開発を完了し陸上実証試験を開始している 中速水素エンジンは開発を完了し陸上実証試験を開始している[クリックで拡大] 出所:ヤンマーパワーソリューション
ヤンマーパワーソリューションの舶用水素エンジンの開発スケジュール ヤンマーパワーソリューションの舶用水素エンジンの開発スケジュール[クリックで拡大] 出所:ヤンマーパワーソリューション

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