川崎重工が開発ターゲットとしている舶用水素エンジンは、単機出力で2M〜8MW、複数台搭載で30MWまでで、主に小型内航船から大型内航船が対象になる。開発目標は平均有効圧力で1600kPa以上、陸上試験の軸端出力で2600kW。水素混焼率は体積ベースで99.9%となる、熱量ベースで95%以上となっている。
開発エンジンの特徴は、水素エンジンの特性である急峻(きゅうしゅん)な燃焼に対応するため3台のEGR(排気再循環)システムを搭載していることだ。
陸上実証用のエンジン開発は完了して陸上実証試験の段階に入っており、今後は実船実証用のエンジン開発に取り組む。認証試験を経て2028年3月に出荷予定だ。その後、川崎重工自身が造船を担当する実証船への艤装(ぎそう)やガステストなどを行った後、2030年度に実船実証を開始する予定である。
ヤンマーパワーソリューションは、舶用ディーゼルエンジンの技術を基に、水素混焼とディーゼルの二元燃料に対応する出力800kWの中速水素エンジンと、水素専焼で出力1400kWの高速水素エンジンの2機種を開発している。
現時点で開発を完了しているのは中速水素エンジンで、既に陸上実証試験の段階に入っている。陸上実証試験を経て船級承認などを取得した後、2028年度から実船実証に入る方針である。一方、高速水素エンジンは要素技術開発を進めており2028年度に陸上実証試験を始めることを想定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
モビリティの記事ランキング
コーナーリンク