【実践編】“手軽さ”の裏側にある「AirShaper」の高度な自動化技術AirShaperとは? その実力を拝見(2)(2/3 ページ)

» 2025年10月14日 07時00分 公開

4.【実践】実際に解析してみた:筆者のモデルで検証

 ここからは、筆者がAirShaperを使って行った解析の概要と、その結果を紹介します。今回は、数年前に「法政大学アーバンエアモビリティ研究所」のモデルとして作成されたeVTOL(電動垂直離着陸機)「STINGRAY(スティングレイ)」を用い、機体が巡航している状態を想定して計算を実行しました。

【筆者による実際の解析】

  • 解析対象モデル:STINGRAY(eVTOL)
STINGRAYのCADデータ(解析用に一部修正) 図1 STINGRAYのCADデータ(解析用に一部修正)[クリックで拡大]
STL形式にエクスポートしたデータ 図2 STL形式にエクスポートしたデータ[クリックで拡大]
AirShaperにインポートし、流速やオリエンテーションを設定 図3 AirShaperにインポートし、流速やオリエンテーションを設定[クリックで拡大]
  • 解析条件:定常解析(乱流モデル:SST k-ω)
    • 風速:180km/h
    • 解析精度:Basic(基本レベル)
  • 計算時間:約30分

解析結果に対する考察

 率直にいうと、前処理があまりにも簡単で拍子抜けしてしまった、というのが筆者の正直な感想です。特に、機体を解析空間にアップロードしてから解析の準備に入るまでの手軽さには驚かされました。

 実は、以前に筆者が普段使用している商用解析ソフトウェアで解析を行った際、一番苦労したのは、解析モデルの整備でした。もともとイメージ用途で作成されたモデルであり、それが目的であったことから、データの品質には少し問題がありました。面の交差やノンマニホールドエッジなど、さまざまな修正が必要だったのです。CAD上でのモデル編集に、一体何日かけたのか……と思い返すと、今回AirShaperでの前処理が、アップロード作業も含めて10分足らずで完了したという事実は、筆者にとって非常にインパクトのある体験でした。

 そして、メッシュ作成についても、基本的にはそうした作業が存在しないほど簡単でした。

 さて、解析結果についてですが、このモデルはもともとイメージ用途で作成されたものであり、きちんとした翼形状にはなっていません。そのため、得られた揚抗比(つまり、揚力や抗力の値)をここで示すのは少々恥ずかしいので、今回は省略させていただきます。

 とはいえ、どの部分に改善の余地があるのかを視覚的に捉えることはできました。今回のケースでは、そもそもきちんとした翼を使ってモデルを作り直した上で、あらためて解析を行う必要性があると感じました。

表面の圧力プロット 図4 表面の圧力プロット[クリックで拡大]
流線のプロット 図5 流線のプロット[クリックで拡大]

 今回は解析自体が比較的シンプルで、かつ定常解析であったこともあり、30分もかからずに完了しました。解析が終わるまでの間に別の作業をしようと思っていたのですが、その時間すらないほどの早さでした。

 解析の条件や設定する解析精度にもよりますが、このように短時間で解析が終わるため、複数回トライすることも容易に行えます。

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