CATLは、「IAAモビリティ 2025」で「世界初」(同社)となる持続的な高電圧供給を可能とし、熱暴走後も発火や煙が発生しないリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池「Shenxing Pro」を公表した。
CATLは2025年9月8日、「IAAモビリティ 2025」(独ミュンヘン)で「世界で初めて」(同社)持続的な高電圧供給を可能とし、熱暴走後も発火や煙が発生しないリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池「Shenxing Pro」を公表したと発表した。同製品は、欧州のEV(電気自動車)市場向けだ。
Shenxing Proには、同社独自のNP3.0技術を用いた。同技術では、熱暴走後も1時間以上高電圧を供給できる。また車両速度を維持しながら、ドライバーが冷静に危険エリアから移動できるようにし、炎や煙の発生を防ぐ。レベル3および4の自動運転により車両システムに事故責任が移行する中、Shenxing Proは緊急事態でも途切れることのない電力供給とシステム継続性を保持する。
「Shenxing Pro 超長寿命・長航続バッテリー」は、世界初のLFPバッテリーとして、WLTPモードでの走行可能距離で758km、12年かつ100万kmを達成した。最初の20万km走行後における劣化率は9%しかなく、欧州のリース市場に貢献する。
「Shenxing Pro Super 超高速充電バッテリー」10分でWLTPモードの走行可能距離で478km分を充電できる。これは1秒当たり0.8kmに相当し、欧州の超高速充電LFPバッテリーで最上位だとしている。
充電率(SOC)20%の状態においても830kWを可能とし、2.5秒ほどで時速0〜100kmの加速ができる。また極寒環境での走行を想定し、−20℃で20分間の充電により走行可能距離410kmを可能とした。加えて、最長10年かつ24万kmの保証付きだ。
Shenxing Proには、スペースシェアリング技術と肩部を高くしたデザインが特徴的な、CATLのWaveセルを使用した。これまでのように限定された方向にしか適用できなかった冷却システムや固定機構を、さまざまな方向から適用できるようにした。
全方位での振動抑制を可能とし、バッテリーパックの剛性を25%、耐久性を2倍に向上させた。Shenxing Proは、そのセル設計により、これまでのセルトゥボディー(CTB)の制約にもかかわらず、76%という体積効率を達成している。
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