　ホンダは2025年9月11日、新型軽乗用EV（電気自動車）「N-ONE e：」を同月12日に発売すると発表した。ホンダの軽EVとしては商用車の「N-VAN e：」に続く第二弾となる。メーカー希望小売価格はベースグレードが269万9400円から、上位グレードが319万8800円から。1回の充電で走行できる距離はWLTCモードで295kmを確保した。販売目標は非公開だ。鈴鹿製作所（三重県鈴鹿市）で生産する。

N-ONE e：を発売する［クリックで拡大］

　N-ONE e：の発売に合わせて、家庭用の普通充電器も純正品として販売を開始する他、自宅での充電が難しいユーザーを対象に、充電ネットワークサービス「ホンダチャージ」の提供も始める。ホンダチャージは全国のホンダ販売店や商業施設などに設置し、2030年までに数千口の普及を目指す。

　N-ONE e：は充電コネクターを接続するだけで認証や充電が行われるプラグ＆チャージ機能にも対応しており、ホンダチャージでの急速充電に利用できる。ChadeMO規格に準拠したプラグ＆チャージ機能はホンダチャージが「日本初」（ホンダ）だとしている。

ホンダの軽EV

　2024年に仕事や趣味にも使えるEVとしてN-VAN e：を投入し、事業者用補助金（LEVO補助金）を適用すれば全グレードで200万円を下回る価格設定とした。N-ONE e：をラインアップに加えることでホンダとしてのEV販売基盤を構築していく。今後の商品も含めて順次テコ入れしながら、「EVといえばホンダ」というイメージも定着させたい考えだ。

　ホンダ執行職統合地域本部日本統括部長の川坂英生氏は「EVの収益や事業性はまだ厳しい。補助金をうまく活用させてもらいながら、事業を成立させて普及に努めたい。市場の拡大が進めばコスト面でも事業に貢献できるレベルになっていくだろう」とコメントした。

　ベースになった「N-ONE」が属するハイトワゴンのカテゴリーは、2台目以降の自家用車として所有されることが多い。EVも、走行可能距離などを理由にエンジン車と併せて所有される傾向があるため、N-ONEのEV版が需要に応えやすいとみている。

　また、ホンダ統合地域本部日本統括部国内四輪営業部商品企画課チーフの木村祐希氏は「日常の足としてEVをしっかり使ってもらう上で、走行可能距離は大きなポイントになる。現状で走行可能距離を稼ぎ出すには、車重や空気抵抗の少なさが大きく影響する。そのため、軽乗用車としてはN-ONEがEV化に適していると判断した」とコメントした。

N-ONE e：の外観［クリックで拡大］

　「N-BOX」のEV化も含め、今後の軽EVのラインアップについては回答しなかった。N-BOXは、2024年度まで軽自動車としては10年連続で、登録車も含めた国内新車販売では4年連続で日本トップの売れ筋だ。2025年1～6月も国内販売台数でトップだ。2台目以降ではなく、メインで使うファーストカーとしての需要も強い。

　ホンダ四輪開発本部 PU・エネルギーシステム開発統括部 PU・エネルギー性能開発部エネルギーシステム性能開発課チーフエンジニアの渡邊伸一郎氏は「スライドドアの軽EVを作るのは技術的には難しくないが、ファーストカーとしての使い方や走行距離をどこまでカバーするのか見極めながらやっていく。スーパーハイトワゴンが人気で商品としても主力になっているが、ハイトワゴンもまだまだ人気があり、N-BOXとは違うものがほしいという理由で選ぶ人も少なくない」とコメントした。


	ホンダ						日産自動車
	N-ONE e：	N-ONE （参考）	N-VAN e：	N-VAN （参考）	N-BOX （参考）	ホンダe （販売終了）	サクラ
全長：mm	3395	3395	3395	3395	3395	3895	3395
全幅：mm	1475	1475	1475	1475	1475	1750	1475
全高：mm	1545	1545／1570	1960	1945／1960	1790／1815	1510	1655
車両重量：kg	1030	840～920	1130／1140	930～1020	910～1030	1540	1070／1080
一充電走行距離：km	295	-	245	-		259	180
交流電力量消費率：Wh/km	105	-	127	-		138	124
バッテリー容量：kWh	29.6	-	29.6	-		35.5	20