電池容量を必要最小限にする「バッテリーリーン」な電動車は、四輪のEV(電気自動車)「e VITARA」や、電動スクーター「e-ACCESS」が登場した。e VITARAは、機能を厳選した「SDVライト」の考え方も適用し、Bセグメントユーザーにちょうどよく、価値のある装備を採用した。
SDVライトにおいては、予防安全ではインテリジェントカメラにADAS(先進運転支援システム)を統合し、アフォーダブルなシステムでNCAP(新車アセスメント)での評価を獲得していく。ヘッドランプはモデルごとの個性を出しながら機能集約や軽量化を進める。デジタルコックピットやコネクテッド機能は、日欧とインドのそれぞれで優先順位をつけながら進化させる。
サーキュラーエコノミーに関しては、リサイクルしやすくするための材料統合、廃車時に分解しやすくする設計、樹脂部品の減量、再生プラスチックの活用、回収スキームの構築などを推進している。
新たに取り組むカーボンネガティブは、内燃機関の効率を高めてもWell to Wheel(エネルギーの採掘から走行まで)でCO2排出をゼロにするのが難しいことに対するアプローチだ。既存の車両に部品を後付けしてCO2を回収して蓄えておき、植物の成長促進に活用することを目指す。まだ実験室レベルだが、進捗は順次発表するという。
カーボンニュートラルに向けて、スマートファクトリー化による製造エネルギーの極少化にも取り組んでいる。品質と生産性を向上させながら、省エネを進める。2025年6月に稼働した湖西工場(〜〜〜)の新しい塗装工場では、熱気が上に移動することを利用して人が作業するエリアと熱を使うエリアのゾーニングを行い、エネルギー効率を高めた。
日本では、運転免許返納による移動の制限、労働人口の減少に伴う物流や搬送の人手不足が課題だ。新興国ではモータリゼーションの進展によって渋滞や事故が増加している。スズキは自動車メーカーとしてクルマが持つ本質的な機能を見直し、本質的な価値を極大化することに取り組む。
具体的には、ちょうどいい機能をちょうどいい価格で実現する「Easy to buy」、操作が分かりやすく安全運転を実現する「Easy & Safety drive」、ドライバー主体の運転を尊重して移動だけではない楽しさを実現する「Waku Waku drive」、価格以上の価値を実現する「High value」、自動搬送や公共交通向けの「新モビリティ」、人生に寄り添う「サステナブルユース」の6つがテーマとなる。
Easy to buyには、クルマに使う材料を減らすSライトと、必要十分なSDV(ソフトウェアデファインドビークル)を実現するSDVライトの取り組みがかかわる。Easy & Safety driveでは、ステアリングやスイッチ、レバーなどの操作系の装備を必要なものに絞り、直感的で分かりやすいコックピットを実現する。正しい運転姿勢を保てるようにして誤操作を予防したり、ドライバーの認知/判断/操作を過不足なくサポートしたりすることで安全で快適に運転できるようにする。運転技量アプリを活用して運転能力を客観的に把握してもらい、運転免許の返納時期の見極めもサポートしていく。
新モビリティに関しては、物流の効率化に貢献する小型の自動配送モビリティや、工場や港湾などの限定されたエリアで管制システムによって動く台車を制御する「インフラ管制自動走行システム」を開発する。GlydwaysやSkyDriveをはじめとする新しい交通手段にも取り組む。
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