また、Jetson AGX Thorは、Jetsonシリーズとして初めて、1つのGPUを複数の独立したGPUに分離して扱えるMIG(Multi-Instance GPU)を利用できるようになった。MIGは、Ampere世代のサーバ向けGPUから導入が始まったもののJetson AGX Orinには採用されていなかった。Jetson AGX Thorは、2560個のGPUコアと96個の第5世代Tensorコアを搭載しており、最大10個のGPUインスタンスに分割できる。
Jetson AGX ThorはCPU性能も向上しており、Armの自動運転システム/ADAS(先進運転支援システム)向けアプロケーションプロセッサコアである「Neoverse-V3AE」を14コア集積している。最大動作周波数は2.6GHzである。
メモリは最新の256ビットLPDDR5Xを採用しており帯域幅は273GB/s。Jetson AGX Orinの256ビットLPDDR5の帯域幅が204.8GB/sだったので約33%の増加となる。容量も128GBで、Jetson AGX Orinの64GBから倍増した。ネットワークインタフェースとして高速の25GbEを4チャネル搭載している。開発者キットは、25GbE×4チャネルを用いることで100Gbpsの帯域幅に対応するQSFP28の光トランシーバーモジュールを搭載している。
なお、Jetson AGX Thorの消費電力は40〜130Wで、Jetson AGX Orinの15〜60Wから倍増した。ただしNVIDIAは、Jetson AGX ThorはJetson AGX Orinと比べてAI処理性能が7.5倍、CPU処理性能が3.1倍、外部接続ネットワークの帯域幅が10倍になっていることなど、消費電力当たりの性能で大きく上回っているとしている。
Jetson AGX Thorの量産モジュールは開発者キットに組み込んでいる「Jetson T5000」の他に「Jetson T4000」も用意した。Jetson T4000はFP4のAI処理性能が1200TFLOPSなど機能を抑える一方で消費電力は最大で70Wとなっている。価格はJetson T5000が2999米ドル、Jetson T4000が1999米ドル。Jetson AGX Thorの開発者キットとJetson T5000は発表と同時に販売を開始しており、Jetson T4000は2025年10〜12月期の発売を予定している。
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