三菱電機は、三菱電機メカトロニクスフェア(MMF2025)の開催に先立ち、記者会見を開き、新たな放電加工機やMMF2025の概要について説明した。
三菱電機は2025年7月29日、三菱電機メカトロニクスフェア(MMF2025、会期:同月30、31日、会場:産業メカトロニクス製作所)の開催に先立ち記者会見を開き、新たな放電加工機やMMF2025の概要について説明した。
名古屋製作所から分離する形で2021年に誕生した産業メカトロニクス製作所では、放電加工機やレーザー加工機、それらのNC(数値制御装置)などを自動車や航空機、医療など向けに展開している。近年は新規事業として金属3DプリンタやCFRP切断用3次元レーザー加工機、ウエハー切断用のマルチワイヤ放電スライス加工機もラインアップに加わっている。
三菱電機 FAシステム事業本部 産業メカトロニクス事業部 事業部長の長谷川寛氏は「ワイヤ放電加工機やレーザー加工機などのコンポーネントとソリューションの両面で製品ライフサイクルのフェーズごとに付加価値を提供している。導入前のコンサルティングや導入後の加工コンサルティング、リモート診断、AI(人工知能)によって機械を止めずにユーザーの利益最大化に貢献していく」と語る。
MMF2025では、ワイヤ放電加工機や形彫放電加工機、金属3Dプリンタやレーザー細穴加工機など11シリーズ23台を出展。10億円の成約内示を目指しており、期間中には1511人が来場した。地域ごとではなく、全国からユーザーを招いて開催する形としては2014年以来11年ぶりのプライベートショーだったという。
MMF2025で初披露となったのが、ワイヤ放電加工機の新機種「MGシリーズ」だ。2012年に発売された「MVシリーズ」の後継機主として、13年ぶりに大幅刷新した。まず国内で2025年7月30日に発売する。
自動車や半導体、航空機などの分野では、部品の複合化、微細化、軽量化のニーズが高まっている。放電加工においても高い加工寸法精度、均一で高品位な放電加工面質など高精度化、高品質化、高生産性化が求められている。「エネルギー分野は国内や米国で設備投資が活発だ。中国では自動車産業で大きな投資をしているところがある。今後、インドは自動車や航空機、スマートフォンなど内需を軸に成長が見込まれる」(長谷川氏)。
加工現場では加工ごとに細かい段取りや加工条件の調整、頻繁な機械メンテナンスが必要だ。一方で、放電加工を行う熟練技術者が相次ぎ引退しており、金型工場や従業員も減少している。
そこで、MGシリーズは、誰でも簡単に高品位加工、止まらない、省エネの3つをコンセプトに開発された。
誰でも簡単に高品位加工では、標準搭載の独自AI技術「Maisart」を拡充。板厚やワークからのノズル離れの量が変化しても、加工制御により高精度な加工実現する「Maisartノズル離れ制御」において、鉄、超鋼、銅、アルミに対応するなど対象ワークの材質や板厚を広げた。複雑な連続コーナーが続くような加工形状でも高精度な加工を行う「Maisartコーナ制御」でも、対象材質を拡大し、全条件への適用を実現した。
従来、Maisart制御を行うためには、加工条件を入力する必要があった。そこで、運転画面上のスイッチをOnにするだけでMaisart対応加工条件にプログラムを自動変換する「1 Push Technology」を新たに搭載した。従来機種で作成したプログラムでも、Maisart対応加工条件に変換できる。
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