レジャーだけでなく災害時も重視、キャンピングカーが「フェーズフリー」認証車両デザイン

日本特種ボディーのキャンピングカー「EXPEDITION STRIKER」がフェーズフリー協会の「フェーズフリー認証」を取得した。

» 2025年07月31日 08時15分 公開
[齊藤由希MONOist]

 日本特種ボディーは2025年7月30日、同社製キャンピングカー「EXPEDITION STRIKER」がフェーズフリー協会の「フェーズフリー認証」を取得したと発表した。

 フェーズフリー認証は、防災用としての機能性と日常的な利便性を両立した製品に与えられる。フェーズフリーな製品を普段から使うことで、防災の備えをしやすくすることを狙っている。

写真左から日本特種ボディー 代表取締役の蜂谷愼吾氏、フェーズフリー協会 代表理事の佐藤唯行氏[クリックで拡大]

 自動車は、災害時に自宅で過ごせなくなった場合に避難場所の1つとして活用されており、キャンピングカーであれば一般的な乗用車よりも快適に車中泊できる。ただ、平時のレジャー用を前提としており、災害時の機能性までは十分に検討されていないという。

 EXPEDITION STRIKERは、エアコンを1日中使っても余裕があるほどの発電量のソーラーパネルとリチウムイオン電池を搭載した他、狭い場所でも乗り降りしやすいリアエントランス、荒れた路面でも走りやすい走行安定性を備える。余分な電力は、スマートフォンの充電などで周囲の人を助けることにも使える。これらの特徴がフェーズフリー協会に評価されたとしている。

EXPEDITION STRIKERとは

 EXPEDITION STRIKERはいすゞ自動車のキャンピングカー専用シャシー「Travio」を採用している。Travioはフラグシップの「Be-cam」に対してエントリーモデルの位置付けとなる。

 全長は4955mm、全幅は1800mm、最小回転半径が4.4mと取り回しのよさが特徴だ。車両総重量は3.5トン未満なので普通免許で運転できる。排気量1.9l(リットル)の直列4気筒ディーゼルエンジンを搭載しており、トランスミッションは6速ATだ。災害など非常時でも運転する人を選ばないことを重視した。

 シェル(居住空間)はオールアルミで軽量化を図った。また、運転席のあるキャブと居住空間の接続部分は鉄道車両の貫通路のように柔軟性を持たせ、シャシーのねじれによってタイヤの接地性を高めた。従来のキャンピングカーよりも荒れた路面を走りやすくなるとしている。

 EXPEDITION STRIKERは、いすゞ車と同様にプリクラッシュブレーキなどの運転支援システムや、コネクテッドメンテナンスサービス「PREISM」が利用できる他、車両の走る/曲がる/止まるに関する部分はいすゞ自動車の販売店でメンテナンスを受けられる。

日本特種ボディーのEXPEDITION STRIKER[クリックで拡大]

 オプションで、EXPEDITION STRIKERは出力600Wのソーラーパネルをルーフに設置できる。車内に大容量ポータブルバッテリーを設置すると、家庭用ルームエアコンや電子レンジ、冷蔵庫などの家電が使える。停電などで電気が利用できない状況になっても、自給自足できるようにした。ポータブルバッテリーは、外部給電の電源としても活用できるとしている。

 車内は、休憩や作業、荷物の積載、仮眠など目的に応じてレイアウトを変更できる。キャブアクセスの開口部を広げることで、居住空間とキャブを行き来しやすくした。また、車内後方のキッチンも開口部を設け、居住空間のつながりを重視した。

 いすゞ自動車はTravioの販売目標について、2〜3年で400台を計画している。Travioを使用する日本特種ボディーとしては、まずは年間70〜80台の販売を目指し、いすゞ自動車の販売目標にも貢献していきたい考えだ。

車外からも利用できるポータブルバッテリー(左)。ルームエアコンを1日中使用できる(右)[クリックで拡大]
運転席と居住空間のつながりを重視した(左)。キッチンスペース(右)[クリックで拡大]

→その他の「車両デザイン」関連記事

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.