続いて画像センシングと関わるのある先進的なテクノロジーを2つ取り上げよう。
光学解析ソフトウェアや光学測定システムの提供および各種コンサルティングを請け負っているCBS Japanは、会場内の「航空宇宙・衛星ビジョンゾーン」で、光学エンジニアリングソフトウェア「FREDmpc」を展示した。開発元は米Photon Engineeringである。
レンズやプロジェクターなどの光学機器の設計において、合焦、フレアやゴースト、収差などを精度高く解析するには、極めて大量のレイトレーシング計算が必要になる。
FREDmpcはレイトレーシングを中心とする光学計算をNVIDIAのGPUに最適化してオフロードするソフトウェアだ。使用するGPUのモデルやコア数にもよるが、CPUだけの計算に比べて100倍以上の性能向上が得られるという。必ずしもサーバ用のGPUが必要というわけではなく、GeForceクラスでも動作するため、NVIDIAのGPUボードを装備したワークステーションでも十分な効果が得られる。
マシンビジョンの光学系のシミュレーションや、対象物にごみなどが載ったときのシミュレーションも可能だという。
NASA(米国航空宇宙局)で活用されている他、国内のレンズメーカーなどに納入実績があるとのことであった。
イスラエルのバレンズ(Valens)セミコンダクターは、ビデオ伝送用のシリアルバス「MIPI A-PHY」に準拠したSerDesソリューションを出展した。
MIPI A-PHYは業界団体のMIPI Allianceによって策定されたシリアルバス規格である。シリアル映像データを最長15m、最高16Gbpsの速度で伝送できる。車載向けに設計されていて、カメラやセンサーなどの接続が主なアプリケーションである(参考までにMIPIの規格には、デジタル機器向けに開発された最高5.7Gbpsの「MIPI C-PHY」と最高2.5Gbpsの「MIPI D-PHY」がある)。
画像センシング展2025では、同社のMIPI A-PHYチップ「VA7000」(最大8Gbps)のノイズ耐性のデモを見せていた。カメラを13mの同軸ケーブルで接続し、伝送経路の途中で高周波ノイズを注入したとき、競合他社のSerDesソリューションでは映像が停止してしまうが、VA7000では問題なく伝送できることを示していた。
バレンズセミコンダクターは2024年9月に、欧州の自動車メーカー3社が同社の「VA7000」を採用したことを発表済みである。
日本の自動車メーカーやサプライヤーにも提案するとともに、ノイズ耐性の高さを産業用途にも訴求していく考えだ。
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