その中で新たなEMSの取り組みとして提案するのが「まるごとEMSサービス」だ。これは、経営視点や経営課題解決としてEMSを活用することを提案するものだ。
EMS事業の提案は従来、モノづくりを行う事業部門に対し、OKIが代わりに製造することで得られる時間的、費用的、技術的価値を訴える場合がほとんどだった。しかし、提案方法を経営課題から逆算して行い、効果もこれらの指標を示すようにする。
例えば、ある事業の利益率を高めるために、製品や共通工程、工場などの単位で製造をまとめて受託することで、工場や設備を固定費から変動費に転換したり、棚卸(在庫など)を削減したりすることで、FCF(フリーキャッシュフロー)の改善に貢献する。既存顧客での効果検証では、棚卸を2分の1に、FCFを3倍以上に改善した事例もあるという。
前野氏は「ROIC(投資資本利益率)経営が重視される中、『持たない経営』が注目されている。その観点で見るとEMSに委託することが経営価値につながるはずだが、これまでは経営価値にどうつながるかをひも付けて提案はしてこなかった。あらためて経営価値から逆算してEMSがもたらす効果を主要顧客などの実績からプロジェクトチームが分析してサービスとしてまとめた」と語る。
まるごとEMSサービスは、「製品群まるごとEMS(設計生産受託)」「共通工程まるごとEMS」「工場まるごとEMS」の3つを提供する。B2B企業をターゲットに2025年6月から開始し、2028年度に年間100億円の売上高を目指す。「これは完全に新規顧客に対する売上高目標で、既存顧客の分は含まない」(前野氏)。
これらに加え、今後は海外での生産受託サービスも広げていく方針だ。既にベトナム工場で請け負う体制などは整えており、アジア太平洋地域を中心にグローバルでの売り上げ拡大を目指していく。「海外での受託生産はまだこれからで、当面は国内を中心としていくが、既に拡大する準備はできている」と前野氏は述べている。
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